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山形サポーターによる“中指問題”は謝罪すべき『事件』か? 安易な処分はJリーグの衰退招く危険性も

text by 編集部

山形サポーターによる“中指問題”は謝罪すべき『事件』か? 安易な処分はJリーグの衰退招く危険性も
J2第36節であった「相手選手への挑発的行為」についてモンテディオ山形から謝罪がリリースされていたが…

 11日のJ2第36節モンテディオ山形対V・ファーレン長崎の試合で山形サポーターによる「相手選手への挑発的行為」があったとして、クラブから謝罪がリリースされていた。

 この件に関して長崎のサポーター集団「ウルトラ長崎」が12日、公式ブログで「ウルトラ長崎の考え」というタイトルのエントリーを公開している。

 冒頭で「我々ウルトラ長崎は、この謝罪を断固として拒否させて頂きます」と意思を表明したうえでその理由を説明している。

 その中で「『モンテディオ山形サポーターによる相手選手への挑発的行為があった』とのことですが、挑発行為のどこがいけないのでしょうか?」と昨今の挑発行為自体が処分の対象になる風潮に疑問を呈している。

 特定のチームを応援し、自分たちのゴールを喜ぶことも「相手チームの失点を喜んでいる」のと同じなため、挑発行為とも受け取れる。

 つまり「挑発行為が禁止事項となれば、特定のチームに対する応援は全て禁止になりかねないということ」になると、事あるごとにクラブへ通報する風潮がよしとされてしまう現状を危惧している。

 もちろん「ウルトラ長崎は、中指を立てる行為を推奨する気は一切ありません」と但し書きをしながら、「我々に対して中指を立てる挑発行為が行われた場合、俄然闘争心が燃え上がり、こんなやつらに絶対に負けたくないと普段以上に応援に気持ちが入るでしょう。

 だからこそ、勝った時は何倍も喜びが増しますし、負けた時は死ぬほど悔しく、次回は絶対に負けまいとさらに応援に力が入ります」とサポーターの心理を説明した。

 最後には「挑発行為というのは、サッカー観戦のスパイス」、「スパイスの効いていない料理は、単調で多くの人々を魅了することはないでしょう。そのようなつまらないスタジアムになってほしくないと、ウルトラ長崎は考えています」と締めくくった。

 実際、“中指事件”が発生した試合は数多い。J2第35節では横浜FCサポーターが、J1でも8月の第21節で大宮サポーターが中指を立てて処分を受けている。いずれもテレビ中継の映像やSNSに出回った写真を発端に問題が明らかになっている。

 Jリーグの定める「Jリーグ共通観戦マナー&ルール」の中で「差別的、侮辱的もしくは公序良俗に反する発言や行為は、絶対におやめください」となっているのは事実だ。

 しかし現状のように「どんな小さなことでもクラブやリーグに通報すればいい」という風潮ができてしまえば、そのクラブをよく思わない人物によるテロ行為のようなことも可能となり、サポーターはうかつに応援すらできなくなってしまうかもしれない。

 このままではJリーグがエンターテイメントとしての面白さ、楽しさ、興奮を失ってしまう危険も孕む“中指問題”。Jリーグや各クラブが今後どのような対応を取っていくのかしっかりと注目していくべきではないだろうか。

【了】

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