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代表 10年前

「ぐらつく世界王者」。衝撃の敗戦後、アイルランドにもホームでドロー。ドイツも例外でなかった“栄光の後の苦悩”

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「どこに問題があるのか、分からない。我々は平静を失った」

 ビルト紙上でボアテングは、危機を募らせた。

「ぐらつく世界王者」。衝撃の敗戦後、アイルランドにもホームでドロー。ドイツも例外でなかった“栄光の後の苦悩”
先制ゴールを決めたクロースは、アディショナルタイムに決められての1-1に腹を立てていたという【写真:Getty Images】

「話し合いを持つべきであるし、真剣に事態を把握しなければならない。我々は今、全ての試合に勝たなければならない。そのことについて、意識を取り戻す必要があるし、それが十分かどうか、ここで誰もが土台を問う必要がある。皆が責任を取らなければならない」

 15日付のビルト紙によれば、先制ゴールを決めたクロースは、アディショナルタイムに決められての1-1に腹を立てていたという。

「不必要以外の何ものでもない。最後の5分間、我々はそれまでとは全く異なったことをした。ただロングボールを蹴り続けたんだ。どこに問題があるのか、分からない。我々は平静を失った」

 16日のビルト紙上では、「W杯の後の代表チームの光景に何を考えますか?」という質問に対する読者アンケートの結果が公表された。

「そんなに悪くはない。それでも我々は世界王者だ!」が54%で、「光景は世界王者にふさわしいものではない!」が46%となっている。まだ余裕はある。しかし観衆も平静さを失いつある。

 ビルト紙は「我々はまだいつもW杯の眠りの中にいる!」、「世界王者としての尊敬はすでに去っている!」と書き立てて、「多くの選手は必要な緊張感を欠いた。彼らは未だに思い出の中に浸っている」と記した。

 ブラジルで栄冠を掴んだ先で、ドイツは混乱の中にある。

 先日のビルト紙が分析したように、ラームやクローゼの引退や、シュバインシュタイガー、ケディラといった選手を負傷で欠くことが要因となっているのは確かではあるが、クロースが「どこに問題があるのか分からない」と口にしたように、事態は人的なものだけで割り切れるものでもない。

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