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代表 10年前

「ぐらつく世界王者」。衝撃の敗戦後、アイルランドにもホームでドロー。ドイツも例外でなかった“栄光の後の苦悩”

ポーランド戦の敗戦に続いてアイルランドにも引き分けたドイツ。W杯優勝の栄冠の後、苦戦が続いている世界王者に対して地元メディアもファンも不安を募らせている。

text by 本田千尋 photo by Getty Images

クロースのゴールで先制もアディショナルタイムに同点

「ぐらつく世界王者」。衝撃の敗戦後、アイルランドにもホームでドロー。ドイツも例外でなかった“栄光の後の苦悩”
16日付のキッカー紙は「ぐらつく世界王者」、「レーブのイレブンは最後にコントロールを失う」という見出しでアイルランド戦を報じた【写真:Getty Images】

 3日前にワルシャワでポーランド代表に史上初の敗北を喫してなお、場内のドイツ人には余裕があった。2014年10月14日欧州選手権予選グループD第3戦、ドイツ代表はシャルケの本拠地であるヴェルティンス・アレーナに、アイルランド代表を迎え撃つ。

 まだ余裕はある。それでいて、一抹の不安を拭えない。試合の前にさりげなくビールをあおるドイツ人の中で、アイルランド人は意気揚々としていた。ポーランドがあれだけやれたのなら、オレたちにもチャンスはある。

 緑のアウェイ席は、攻め入る世界王者を相手に耐え、わずかなチャンスを掴もうとするチームを歌と声で鼓舞し続けた。前半を無失点で切り抜け、後半に入っても、歌は止まない。

 しかし71分、クロースの一撃がアイリッシュの希望を吹き飛ばした。ミドルレンジから放たれたシュートは、左のゴールポストに当たって、ゴールの中にねじ込まれた。当然のことのように、ドイツ人は沸いた。アイルランド人は沈んだ。

 そのまま試合が終わると誰もが思っていた。アディショナルタイムも過ぎ去ろうとしていた。一瞬の出来事だった。ゴール前の混戦から、オシェアが突き刺す。

 ドイツ人は沈み、アイルランド人は再び希望に沸いた。1人の女性は感極まって、涙で目を溢れさせようとしている。そのまま試合は1-1で終わった。ドイツ代表は掴みかけた勝利をすんでのところで逃した。

 ドイツ代表は今、栄光の後の苦悩の中にある。2014年10月16日付のキッカー紙は「ぐらつく世界王者」、「レーブのイレブンは最後にコントロールを失う」という見出しでアイルランド戦を報じた。16日付の大衆紙ビルトは、「ボアテングは話し合いを要求する」という大きな見出しで報じている。

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