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フットボールマネーを追え!【10】高騰を続ける「移籍金」。多国籍化するチーム。背景にある『ボスマン判決』

シリーズ:フットボールマネーを追え! text by 小松孝 photo by Getty Images

120年の間に最高で約6850倍にまで膨れ上がった移籍金

 ブンデスリーガは、独自に『4+8ルール』という、事実上の『ドイツ人枠』を作り、06/07シーズンから導入した。

 これにより自クラブの育成から最低4人。ドイツ国内の他クラブの育成出身選手を最低8人は登録しなければならなくなった。

 裏を返せば、それ以外の選手はすべて外国籍でもよいというもので、そうやって自国内の育成強化も同時に図ってはいるものの、外国籍比率については、セリエAやリーグアンとそれほど大きくは変わらない。

 リーガエスパニョーラの外国籍比率は、他のリーグとは一線を画す驚異の15%で、リーグ全体がスペイン人選手で埋め尽くされている。

 こうしたことからも外国籍選手である、ネイマール(ブラジル)やロドリゲス(コロンビア)、スアレス(ウルグアイ)といった超一流の選手だけが活躍できる特殊な場だと言えなくもない。

 だからこそ、レアルやバルセロナなどが支払う移籍金も超一流なのかもしれない。

 1893年にウィリー・グローブスの100ポンドから始まったとされる移籍金は、2013年に史上最高額となる1億ユーロを記録した。

 当時の1ポンドは、現在の価値に換算して約20,000円とも言われている。つまり、この120年間でプロサッカー選手の移籍金が最高で約6850倍にまで膨れ上がった計算だ。

 また、日本銀行や総務省が発表した統計資料などを元に当時の消費者物価を現在の価値に換算すると、物によっても異なるが、平均して約5800倍。

 そうしたことからも、1893年にウェストブロムウィッチからアストンヴィラに移籍したグローブスは、ベイルやC・ロナウドらと肩を並べる超大型移籍だったのかもしれない。

【11に続く】

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