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フットボールマネーを追え!【10】高騰を続ける「移籍金」。多国籍化するチーム。背景にある『ボスマン判決』

シリーズ:フットボールマネーを追え! text by 小松孝 photo by Getty Images

移籍金は『減価償却』として会計処理

フットボールマネーを追え!【10】高騰を続ける「違約金」。多国籍化するチーム。背景にある『ボスマン判決』
ガレス・ベイルの移籍だけを取り出せば、スパーズがマドリーから得た137億円はそのまま『利益』として計上されたはず【写真:Getty Images】

 史上2番目の高額移籍金だとされているのは2009年、クリスティアーノ・ロナウド獲得のためにレアル・マドリーがマンチェスター・ユナイテッドに支払った9,440万ユーロ(約129億円)で、その取引は、現金による一括払いだったとされている。

 レアルのような金満クラブであれば、そのような支払い方法を選択することもできるだろうが、クラブ側から見た選手というのは『無形資産』になるため、移籍金が高額であればあるほど通常は、『償却』という会計処理を行うのが一般的だ。

 例えばバルセロナが今季、ルイス・スアレスを8125万ユーロ(約111億円)の5年契約で獲得した際、この減価償却を用いたとすると、5年契約とは5年償却のことだから、バルセロナのスアレスに対する移籍コストは年間、約22億5000万円の減価償却費という形で計上されることになる。

 レアル・マドリーのガレス・ベイルは2007年、トッテナム・ホットスパーと700万ポンド(約12億円)の4年契約でサウサンプトンから移籍したが、その2年後の09年にもさらに4年間の契約延長を交わした。

 つまり契約更新後のスパーズとベイルの契約は、14/15シーズン終了までだったため、2013年にレアルは、ベイルの契約残存期間分である2シーズン分に1億ユーロ(約137億円)を支払ったことになる。

 加えて、スパーズは、ベイルと最初に交わした契約満了後にベイルを放出したことから、サウサンプトンに支払った移籍金の約12億円は、すべて『償却済み』となっていたと思われる。

 その結果、ベイルの移籍だけを取り出せば、スパーズがレアルから得た137億円はそのまま『利益』として計上されたはずである。

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