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Jリーグ 10年前

スタメンに返り咲いた横浜FMの齋藤学、停滞気味のチームを飛躍させられるか。J屈指のドリブルで首位・浦和に挑む

text by 青木務 photo by Getty Images

激戦区の2列目でオンリーワンの武器を持つ齋藤学

 彼がピッチにいない時は細かいパスを何本も繋いで相手に隙が生まれるのを伺っていた。ボールも支配できており、チームとしてやりたいことはできていたが、局面を個人の力で打開するタイプはいなかった。

 齋藤の存在は、ボールを繋げるマリノスを更にゴールへと向かわせた。

後半、左サイドから中へボールを運ぶと相手を避けながら藤本淳吾へパス。落としをもらうとそのまま右へ流れ、クロスを送る。藤本のヘディングは相手GKのファインセーブに阻まれたが、バイタルエリアで果敢にドリブルを仕掛けてくる齋藤は、セレッソにとって厄介な存在だった。彼のいる左サイドをから何度も突破したことからもそれはわかる。

 終盤には中村の縦パスを受けると、ワンタッチコントロールから反転してシュートを放っている。得点の可能性を感じさせるプレーだった。

 前節を終えてマリノスは10位と、優勝もなければ降格の可能性もないポジションにいる。昨シーズンの今頃は優勝争いを演じていただけに、悔しい思いもあるだろう。

 それでも、試合を支配しながら決定打はそれほど多くなかった。それがこの順位にいる主な要因だろう。だが、ポゼッション主体の中で常に前へ前へという意識を持っている齋藤の存在は大きい。

 今節は浦和レッズとの対戦が控えており、首位を走るチームを相手に意地を見せたいところだ。ここで浦和を叩けば優勝争いは更に混沌とする。マリノスは優勝とは無縁の位置にいるが、今後に繋げるためにも勝点3をモノにしたい。

 昨年のマルキーニョス(現・ヴイッセル神戸)のような絶対的な点取り屋がいないのは悩みのタネだが、2列目のクオリティはリーグでも屈指。浦和にも決して劣っていない。

 そして、そのクオリティをより高めているのが、齋藤学の際立った個の力だ。首位との対決で自らの価値を証明できるだろうか。

【了】

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