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UEFAの戦略? デキレース? マンCをめぐる「CL抽選操作騒動」のカラクリに迫る

text by 桑村健太 photo by Getty Images

日本最強のCLファンが指摘する「ペアリング」の存在

 坂上氏は「CLカルチョキング」の異名をとる、知る人ぞ知るエキスパートだ。『スカパー!』がCLの放映権を獲得した2003-04シーズンからは全125試合視聴を11シーズン連続して継続しており、CLに関する独自のデータベースを保持する日本最強のCLファンである。

 私もそのデータベースの一部を見せてもらったことがあるが、その網羅性に思わず舌を巻いた。試合中継の際にuefa.comが提供するデータが流れることもあるが、坂上氏はそのミスすら指摘してしまうほどだ。

 そんな坂上氏に、今回のシティの抽選に関する疑惑を尋ねた。すると、意外な真実を知らせてくれた。ここからはその“カラクリ”について説明したい。

 まず前提としてだが、CLのグループステージは現地時間の火曜日と水曜日に行われる。A組からD組までの8試合、そしてE組からH組の8試合がそれぞれ別の日程で行われるのだ。

 そのため、1協会から3チーム以上が本戦に出場する場合、各国のライブ視聴を最も効率的にするためそれぞれの日程に出場チームをうまく分散させる。

 たとえば今シーズンであれば、4チームが出場するスペインのクラブはA-D組、E-H組にそれぞれ2クラブずつ分配されている。イングランドもそうだ。これは偶然ではない。UEFAが抽選の際に選択肢を狭め意図的にそういった措置をしているのだ。

 この決まりは、言ってみれば抽選の際の「制限」のようなものだ。たとえばJリーグのクラブがこの舞台に参加しているとして、1日に4チームが戦うよりは2日に分けて戦ってくれた方が視聴者数は増え、それにともなう経済的効果も高くなる。この制限の狙いはそこにある。

 しかし、ここからが今回新たに判明したことである。どうやらUEFAは、この3および4クラブの配分をただ抽選に任せているのではなく、予め「同じ日に試合を行わないクラブのペア」を決めているようなのである。

 話が少し複雑になってきた。例を見ながら説明しよう。

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