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「マリオ・バロテッリ」を紐解く5つのトピックス。過剰な好奇の目、活かしきれない才能…真の人物像とは?

text by チェーザレ・ポレンギ photo by Getty Images

(4)「偉大なサッカー選手?」

 バロテッリが悪人であるという考え方が間違っているのと同じくらい、彼が偉大なサッカー選手であるという見方も事実を歪めたものだ。

 サッカー選手として、バロテッリがある種のクオリティを備えていることは間違いない。特にシュートに関しては世界最高クラスの一人だと言える。一例として、ノイアーを無力化したEURO2012でのシュートは今でも信じられないような技術の賜物だ。

 セットプレーからも強烈なシュートを放つし、その正確性も驚異的なものであることが多い。PKや直接FKで見せる能力がそのことを証明している。ヘディングに関しても、高さと技術の両面で非常に優れている。

 だが、こういった能力(残念ながら今シーズンは発揮しきれていないが)が非常に大事なものではあるとしても、バロテッリに残された改善の余地は莫大なものだ。

 特に、安定感が決定的に不足している。シーズンを通してだけでなく、1試合の中でも言えることだ。

 どこかへ隠れてしまったかのようにバロテッリがプレーから消えることはあまりにも多過ぎる。基本的にあまり動くことはなく、ボールのない場所での動きでチームメートを助けはしない。10人でプレーすることを避けたい監督が彼を交代させざるを得ないケースは多い。

 信じがたいが動かしようのない一つのデータがある。プレミアリーグで出場した63試合で、バロテッリはアシストをたった一度しか記録していない。その一つは、2011-12シーズンのマンチェスター・シティのプレミアリーグ優勝を決定付けたアグエロへのパスではあったが。

 加えて、芝居がかった態度もある。シミュレーションや、簡単に倒れてしまうプレー。審判に抗議をして、いつも余計なカードを貰ってしまう。

 カードに関するデータは身の毛もよだつようなものだ。ミランでの最後のシーズンに、バロテッリは10枚のイエローカードと1枚のレッドカードを受けた。

 クラブでのキャリアを通算すれば、235試合で80枚のカードを出されている。欧州カップでは44試合の出場で、ゴール数(13点)よりも受けたカードの数(レッド2枚を含む17枚)の方が多い。

 マリオのキャリアを支えてきたものは、選手としての成績以上にその知名度であり、毎回のようにそれまで以上の好条件での契約を見つけてくる代理人ミーノ・ライオラ(イブラやネドヴェドをはじめ、他にも多くの有名選手を手がけている)の手腕である。

 その最新の契約例として、昨シーズンのミランで栄光を逃したにも関わらず、バロテッリは現在リヴァプールで手取り600万ユーロ(約8億7000万円)を受け取っている。昨年は「たったの」400万ユーロ(約5億8000万円)だった。

【次ページ】(5)「現在」
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