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【PR】サッカー監督の仕事とは!? 試合前にその大半は終わっている!!

text by 編集部 photo by Getty Images

シーズンを通して成長する下地をつくる

ユルゲン・クロップ
2013年度のバロンドール最優秀監督賞候補の三人にファーガソン、ハインケスとともに残ったユルゲン・クロップ監督。古豪ドルトムントを復活させたキーマン【写真:Getty Images】

 選手の契約が済み、メンバーが揃ったら、いよいよ新チームの始動だ。監督はその年のカレンダーに合わせてピークを設定、その時期にコンディションが整うよう、そして戦術が浸透するようにトレーニングを始める。

 正式に始動する前の自主トレーニングを含め、開幕前の一、二カ月はとても重要だ。いざシーズンが始まってしまえば、試合のための調整が主体となり、強い負荷をかけてフィジカルを鍛えたり、個人の技術を高めたり、じっくり戦術を覚えるための時間はなくなってしまう。

 まったく新しいチームを一から興したり、メンバーをがらりと変えたり、あるいはスタイルを一新するというときには、開幕戦までの数十日間では準備が足りないことすら考えられる。その場合は開幕時点でチームを完成させようなどとは思わず、大会を戦うなかで成長していけるよう、最低限のまとまりと、選手たちが自分で動いていけるためのエンジンを与えるために時間を費やす。教科書のすべてを憶えない状態での見切り発車だ。

 もっとも、シーズンは長く、一定の好調を最初から最後まで持続することは難しい。シーズン半ばに不振を脱して方向転換に成功したチームが、終盤、先行逃げ切りに失敗したチームを追い抜き、逆転優勝を果たすケースも、決して珍しいものではない。

 その意味では、息切れしてしまうようなやせたチームではなく、成長の芽を仕込んでおくべく、開幕前にはチームをよい「畑」にしておくことが重要だ。

 新しく加入した選手や若い選手が多段ロケットの二段め、三段めになるよう、多くの選手に希望を与え、やる気を引き出す必要がある。

 ドイツではドルトムントが第13節終了時点でブンデスリーガ最下位に沈んでしまっているが、4位アウクスブルクまでは勝点10差。UCL出場権争いを考えれば、むしろここからが踏ん張りどころ。今シーズンかぎりで退団するケール、英国から復帰の香川真司もこのままでいいとは思っていないだろうし、なにより昨年、最優秀監督候補ラスト3に残ったユルゲン・クロップ監督が黙っているはずがない。

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