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ランパードの移籍はルール違反だったのか? 混迷する契約問題とマンCの思惑

text by 山中忍 photo by Getty Images

契約問題にも動じず。リーグ戦で結果を残す

 このリーグの見解は、レンタル移籍と思われていた当初から一貫している。ランパードのシティ入りは物議を醸した。傘下クラブ間取引の悪しき前例となりかねなかったからだ。昨季末にチェルシーとの契約が切れた時点で、シティが直接ランパードに獲得を打診していたら、当時「他クラブでプレミアを戦うことはあり得ない」と公言していたベテランMFは、契約に二の足を踏んでいたと思われる。

 巷にはモラル違反とする声もあったが、シティにとってのランパードが、レンタル移籍中であれ直接契約下であれ、当事者を責めることは難しい。仮に、シティが初めから「NYシティの衣」を着て獲得を画策したのだとしても、昨年末までの短期間が前提だったのだろう。

 30代後半でも、クラブ史上初のグループステージ突破が必須とも言われた今季前半のCLにおいて、ランパードの経験値は捨て難い。その程度の期待値だったから、契約に含まれていたはずの中途解約条項を必要とした。1月からはNYシティが必要としていたこともあるが、シティで不要になった場合も考慮していたと考えられる。

 しかし、クラブ史上初の連覇を狙うプレミアでも頼れると分かれば、引き留めたくなっても無理はない。NYシティとの間に選手契約がなければ尚更だ。勝負強いベテランは、21節までの5ゴール中3ゴールがポイント直結。シティと首位チェルシーとの差は、ランパードがいなければ僅差と言える2ポイントではなく、大差に近い9ポイントとなっていた。

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