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鹿島アントラーズ、2015年補強診断。若手が覚醒し、タイトル奪還へ機は熟した

text by 編集部 photo by Getty Images

期待されてきた若手が期待通りの活躍を見せた昨季

鹿島アントラーズ、2015年補強診断。若手が覚醒し、タイトル奪還へ機は熟した
トニーニョ・セレーゾ監督【写真:Getty Images】

 昨シーズンの開幕前、鹿島の評価は決して高くなかった。有望な若手がひしめき、未来への期待は大きかったが、インパクトを残すにはまだ時間がかかる。そのように見られていたのだが、蓋を開けてみればその若い選手たちが目覚しい活躍を披露。優勝を逃したことは課題だが、“ヤング鹿島”はリーグの中で眩い光を放った。

 特に柴崎岳、昌子源、土居聖真という92年組の3人はJ1全試合に出場した。それぞれボランチ、センターバック、トップ下とセンターラインでプレーし、鹿島の躍進の原動力となった。小笠原満男ら黄金世代の後を引き継ぐべき彼らが独り立ちしたことは、クラブの未来にとっても有益と言える。

 他にもルーキーのカイオは8得点を記録するという嬉しいサプライズをもたらし、2年目の植田直通はCBの一角を担った。今年1月に行われたアジアカップでは、追加登録ながらメンバーに選ばれている。

 トニーニョ・セレーゾ監督は、たとえ若手であっても積極的に起用する。ダヴィが負傷離脱した後、本職のCFは赤崎秀平しかいなくなってしまった。大卒1年目であり、ダヴィに比べるとまだ心許ないが、ピッチに立ち続けることでシーズン終盤にはコンスタントにゴールを決めている。指揮官への恩返しとなったはずだ。
 
 そして、中堅・ベテランのパフォーマンスも高かった。手薄とみられていた左サイドバックにはこの年に加入した山本脩斗が定着し、優勝争いを演じたチームの立役者といっても差し支えない活躍を見せた。遠藤康も自身初となるシーズン10得点を記録するなど、攻撃を牽引。充実ぶりを伺わせた。

 小笠原は試合途中で交代する機会が増えたが、それでもピッチで見せる闘志剥き出しのプレーは味方の道標となり、ゲームメイクも衰えていない。曽ヶ端準は今シーズンもリーグ戦全試合フル出場を果たし、チームを最後尾から盛り立てた。

 そんな中で中田浩二の引退は鹿島にとって大きな出来事だろう。出場機会は減ったが、若手に与える影響力は絶大で、最終節のサガン鳥栖戦で敗れた後、中田を勝利で送り出せなかったことを皆が悔やんでいた。今シーズン、中田の意志を継いだ選手たちがどのような戦いを見せるかは、ひとつの注目点だ。

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