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PSGに訪れた「ターニングポイント」。批判の中、逆境のチェルシー戦が生んだ団結力

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

負傷者続出…。逆境の中で迎えたチェルシーへのリベンジマッチ

 PSGは2ndレグの87分まで総計3-2でリードしていたが、あと5分凌げばベスト4進出、というヤマ場で途中出場のデンバ・バに決勝点を喰らった。

 負けず嫌いのブラン監督には「紙一重で負けた」という痛烈な後悔の念が残り(実際には、パリは負けるべくして負けたのだが)、「同じ相手に2度は負けん!」という思いがたぎっていた。

 にもかかわらず―。

『今季の不評を払拭』、『昨年のリベンジ』、という2大目標がかかったこの大事な一戦を目前にした3日前のリーグ戦、対カーン戦で主力4人が負傷するというありえない事態が勃発したのである。

 まずは16分、腿裏に痛みを訴えてキャバイエが退場。続いてハーフタイムに、同じく腿裏痛をおこしたマルキーニョスが交代。71分にはクロスを上げた際に腿筋をいためたDFオーリエがギブアップし、80分にルーカスも股関節を傷めてピッチを去った。

 3つの交代枠を使いきって終盤ピッチに残ったのは9人。実質的な数的不利に加えて精神的な糸も切れたのか、2点リードを89分とロスタイムに相次いで返され、まさかのドローで試合を終えた。多くの負傷者を出した上に勝ち点3を取り損ねるという往復ビンタ状態。

 もちろん、ブラン監督に責任はある。キャバイエは、その前のカップ戦ですでに腿を痛めていたが、ふくらはぎを故障していたモッタをチェルシー戦に温存するために、このカーン戦に強行出場させて怪我の悪化を招いた。

 オーリエにしても、アフリカ大陸選手権の決勝戦を終えて水曜日にパリに戻った彼を中2日の練習で先発させたのは無理があった。そもそも、予算には不自由しないにもかかわらず、PSGは登録選手が23人と、リーグでもっとも少数部隊だ。うちGKが4人で、全ポジションのバックアッパーさえいない。

 結局、頼みのモッタも間に合わず、キャバイエ、ルーカス、オーリエは欠場と、交代要員も計算できない状態で、チェルシー戦に挑むことになってしまった。

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