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「最期にもう一度勝利を」――。安楽死決意のサポーターが最期のスタジアムへ

text by 編集部

「最期にもう一度勝利を」――。安楽死決意のサポーターが最期のスタジアムへ
ロレンツォさんへのメッセージを掲げるブルージュサポーター(写真:ロレンツォさんのFacebookより)

 ベルギーで、ひとりのサポーターが取った最期の行動が大きな話題となっている。5日付の英紙『インディペンデント』が伝えている。

 クラブ・ブルージュのサポーターであるベルギー人のロレンツォ・ショーンバエルトさん(41)は、末期の病を患っており、過去20年間で37回の手術を繰り返していた。専門医からは安楽死を認められおり、ロレンツォさんの家族も同意していた。日本を含む多くの国や地域では原則安楽死は法律で認められていないが、ベルギーは安楽死が法律で認められている。

 そんなロレンツォさんの最期の願いは、愛するブルージュの試合を観ることだった。ムスクロン戦を観戦するために、安楽死の日程を延期させ、愛娘と妻を連れてヤン・ブレイデル・シュタディオン(ブルージュの本拠地)を訪れた。

 ロレンツォさんは「死の前に、もう1度試合に勝利する瞬間を見るのが、私の最期の願いだ」と語っていたという。

 それを知った有志のブルージュサポーターは、「You’ll Never Walk Alone Lorre」と書かれたバナーを作成。「Lorre」とはロレンツォさんのニックネームであり、「o」の部分にはブルージュのエンブレムが描かれていた。

 彼の最期の願いが届いたのか、ブルージュは見事3-0の快勝を収めた。試合後、「私は今、信じられないくらい幸せだ。この瞬間は、私の娘が生きていく中で一生の思い出になるだろう。私の最期の夢は叶った。これで安らかに眠ることができる。天国から祝福したい」と語った。

 試合後、ロレンツォさんの家族は、ロレンツォさんのフェイスブックを通じて「彼は永遠に大切にされ、愛され、そして逝ってしまいました」というメッセージを投稿。天国へと旅立ったことを報告した。

【了】

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