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データが示すバイエルンの勝因。ノイアーから送られた脅威の縦パス。カウンターにさらされたドルトムント

大きな注目を集めた独クラシコ。ドルトムントが用意したバイエルン対策のプランは確実に実を結んでいたものの、ロベルト・レバンドフスキによる得点でバイエルンが制した。その勝因をデータで探る。

text by 海老沢純一

攻守ともにプランは完遂できたドルトムント

データが示すバイエルンの勝因。ノイアーから送られた脅威の縦パス。カウンターにさらされたドルトムント
左から平均ポジション(図1-1)とボール奪取位置(図1-2)(データ:『wyscout』より)

 ブンデスリーガ第27節、ドルトムントとバイエルンによる“ドイツ版クラシコ”はアウェイのバイエルンが1-0で勝利を収めた。

 ドイツのみならず日本でも大きな注目を集めたこの一戦、欧州ビッグクラブを含めた世界中のスカウトも利用している『Wyscout』が集めたデータを用いて分析する。

 まず、試合内容を振り返ると、ホームのドルトムントが前線から積極的なプレスを仕掛け、バイエルンの支配力を低下させることに成功。それに対して、本来ショートパスで相手守備陣を崩すスタイルのバイエルンは“真逆”ともいえるカウンターで応戦した。

 その傾向はデータでもはっきりと現れており、図1-1のドルトムントの平均ポジションを見ると、CBがセンターサークルの手前まで来ており、最も数値の高いエリアが中盤の43%となっている。最終ラインを高く設定して全体をコンパクトに保ちながらバイエルンの自由を奪う戦略をとっていたことが分かる。

 対するバイエルンは、3バックの3人がペナルティエリア手前にとどまっている。パーセンテージでも守備の44%が最多となっており、ドルトムントのプレッシャーによって高い位置までボールを運ぶことに苦労していたということになる。

 スタッツでもバイエルンの支配率は52%。この状況でも過半数を記録する力はさすがだが、今季のチーム平均は61%。ここまで最も支配率が低かったのが1-1のドローに終わった2月3日のシャルケ戦の56%であり、このドルトムント戦で今季の最低記録を更新している。

 さらに図1-2のボール奪取のエリアを見ても、ドルトムントが満遍なくカバーしているのに対して、バイエルンは自陣のファイナルサードが最多の54.3%となっている。

 ここまでは、ユルゲン・クロップ監督がバイエルン対策として用意したプランが成功しているといえるだろう。

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