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CLバルサ戦、イブラ不在もPSGから漂う「ひょっとしたら…」。カタール体制3季目で得たプラスαのチーム力

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

不振の序盤がもたらしたメンタル面の充実

 一方、怪我人多発の功名で出場機会が増えているラビオは調子が上がっているうえに、ラッキーボーイ的な運の持ち主であるから、ひょっこり得点でも挙げそうな気配もあるが、肝心な場面でパスの選択をしくじることが多く、相手にカウンターのチャンスを与えかねない危険分子でもある。

 マテュイディも、センスより運動量が売りのタイプだから、モッタとヴェラッティがこのチームにもたらしているインテリジェンスの部分を彼ら不在でどう埋め合わせるかが、ブランの采配にかかってくるだろう。

 がしかし、前ラウンドのチェルシー戦も、直前のリーグ戦で多くの負傷者を出して圧倒的不利と言われた状況で臨み、1stレグは1-1のドロー、2ndレグでは敵地で2-2と、最終的に勝ち抜けた。

 とくに2戦目では、2度リードされながら2度とも追いつくというド根性を見せつけ、この経験からチームは明らかにメンタル面での強さを増した。

 リーグタイトルがかかったマルセイユとの直接対決でも、同じように2度先制されながら2度とも同点に返し、最後に1点追加して逆転勝ちしたことで、彼らは自分たちの勝負強さにさらに確信を得た。

 ふだんのリーグ戦では、あまりのレベルの差から、6割、7割の力でプレーし、危なくなったら本気を出して逃げ切る、というようなプレーが多い彼らにとって、執念で勝利を追い求める機会自体が少ない。

 しかし今季は、序盤から低迷して首位にも上がれずと、リーグ戦でもプレッシャーをかけられたおかげで、逆にチームは成長の機会を得た。

 2011年にカタール勢が参画、初年度を移行の年とすると、新体制になって実質3季目の今季、ようやく真の意味での『チーム』ができあがってきた感がある。

 去年のチームであれば、この状態でバルセロナに挑む準々決勝、PSGの勝利はまずない、と断言していただろうが、今年は、ひょっとするとあり得るかも? と思える。

 今季のPSGには、それだけ目に見えてプラスαになったと感じられる特別なチーム力があるからだ。

【了】

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