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香川の元同僚チチャリート、896日ぶりの歓喜。見据える先は11度目のビッグイヤー

text by 編集部 photo by Getty Images

チチャリートが見据える先は11度目のビッグイヤー

 そんな中、この試合で先発というチャンスが回ってきた。ベイル、ベンゼマが負傷欠場が決定したことで、カルロ・アンチェロッティ監督はチチャリートの先発起用を決断。本人曰く「数日前から告げられていた」という。

 出場していた選手、監督、そしてサンティアゴ・ベルナベウで観戦していた両サポーターの誰もが延長戦を覚悟した88分、PA内でC・ロナウドからのパスを受けたチチャリートは迷うことなく右足を振り抜き、決勝点を奪った。

 チチャリートが最後にCLでゴールを挙げたのはユナイテッド時代の2012年11月、ブラガ戦。アトレティコ戦で決勝点を奪うまで実に896日の歳月を要した。また、CLで8得点目となるゴールは、メキシコ人選手のCL最多得点記録をマークする記念すべきものとなった。

 今季8度目となる“マドリード・ダービー”で3分4敗と一度も勝利出来ず、マドリーは同じ街のライバル相手に苦杯を舐め続けてきたが、チチャリートのゴールでようやく1勝を挙げることが出来た。それは同時にマドリーの5年連続の準決勝進出を意味する。

 試合後、スペインメディアに「このゴールはみんなのゴールだ。家族や仲間は僕を信頼してくれた。このゴールはみんなに捧げたい」と謙虚な姿勢でチームメイトへの感謝の気持ちを表したチチャリート。

「キャリアで最も重要なゴールだ。今が一番大事な時期だからね。大切なゴールはたくさん決めてきたけど、重要なのは今だよ」と、クラブにとって自らのゴールが重要であったことも理解している。

 劇的なゴールを決めたチチャリートだが、今後の去就は不透明だ。レンタル元のユナイテッドへ戻るのか、マドリーが完全移籍で買い取るのか、それとも別のクラブでプレーするのか。それでも、「CLを優勝する為には全ての相手に勝たねばならない」と語るように、その瞳はマドリー史上11度目となるビッグイヤー獲得を見据えている。

【了】

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