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代表 9年前

ピケに浴びせられた理不尽なブーイング。スペインの代表離れを加速させるメディアの“煽り”

世界中のサッカーファンから尊敬と人気を集めるスペイン代表。しかし、本国では“代表離れ”の傾向が続いている。その要因の1つといえるのがメディアによる煽りだ。理不尽な報道が不要なブーイングを呼ぶ姿に背を向け始めるファンも少なくない。

text by 山本美智子 photo by Getty Images , Rafa Huerta

三冠獲得でマドリーを皮肉ったピケ

ピケに浴びせられた理不尽なブーイング。スペインの代表離れを加速させるメディアの“煽り”
カンプ・ノウで行なった祝賀パーティで、ジェラール・ピケがマイクを持ったことから始まった【写真:Rafa Huerta】

 スペイン代表は、ユーロ予選でベラルーシを僅差で抑え、グループ内2位のポジションをキープしたが、今回スペイン代表のピッチ上での戦術などは、殆ど話題にならなかった。話題はジェラール・ピケ一色だった。

 全ての発端は、バルセロナが欧州クラブ史上初の2度目の三冠(リーガ、チャンピオンズリーグ、国王杯優勝)を制覇し、サポーターと共にカンプ・ノウで行なった祝賀パーティで、ピケがマイクを持ったことから始まった。

 ピケは、三冠を手にするまで容易ではなかったこと、サポーターへの感謝などを述べた後に、そのスピーチを「ありがとう、ケビン・ロルダン。全ては君と共に始まった」の言葉で終えたのだ。

 その一言を放つやいなや、トップチームの選手はピケになだれ込み、言葉の意味を理解したスタンドは拍手と大爆笑で包まれ、カンプ・ノウの記者席のジャーナリストは明日の見出し、今夜のスポーツニュースの話題はこれで決まったなと一斉に苦笑した。

 マドリードダービーでレアル・マドリーがアトレティコのスタジアムで負けを喫した後に、クリスティアーノ・ロナウドが自宅で一部のチームメートと共に誕生日を開き、激しいブーイングを浴びたのは記憶に新しいことだろう。

 その情報が漏れるきっかけになったのが、このパーティに主賓の一人として招かれていたコロンビア出身の歌手、ケビン・ロルダンだ。

 実際、このマドリードダービーでの黒星をきっかけに、レアル・マドリーが下降線をたどったという見方が国内にはあり、三冠を手にしたピケは宿敵を皮肉ったわけだが、それに黙っていなかったのがマドリーを支持するメディアだ。

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