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代表 9年前

ピケに浴びせられた理不尽なブーイング。スペインの代表離れを加速させるメディアの“煽り”

text by 山本美智子 photo by Getty Images , Rafa Huerta

周囲の雑音に背を向け始めるサッカーファンも

 私には人々のこの代表離れについて、こういった一連のメディアの“煽り”が関連しているように思えてならない。

 もともとバルセロナのファンには、バルサは好きだけど、代表は応援しないという人達がいるし、レアル・マドリーのファンには、バルサから代表に召集される選手が増えたことを面白く思わず、見ていて吐き気がする、とまで発言したファンもいる。

 だが、その一方でクラブはクラブ、代表は代表と割り切って純粋にサッカーを楽しみたいファンも多くいるのだ。こういった純粋なサッカーファンが雑音に疲れ、代表戦に背を向け始めたのではないかと危惧してしまう。

 レアル・マドリーが今季タイトルを獲得できなかったことと、スペイン代表のユーロ予選は全く無関係でなければならないのに、それを意図的にミックスし、視聴率をとろうとする番組作りをするサッカー番組の暗い意図が伝わってくる。

 民主主義社会は多様性が許される社会だ。一つの考え方を押し付けることはできないし、ピッチ上では誰もが政治イデオロギーから離れて一選手に過ぎないというのに…。

 ブーイングは一つの表現方法だとは思うし、個人的にブーイング自体に反対は唱えるつもりもないが、クラブと代表をここまで混同して非難を浴びせることに理不尽さを感じる。この理不尽さこそが、スペイン代表のカラーだと言われるとそれまでなのだが。

【了】

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