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セリエA 9年前

なぜミランは移籍市場で失敗し続けるのか? Mr.B氏による資金増強も次々と逃したビッグネーム

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

ミランは大型補強に乗り出すことができるか?

なぜミランは移籍市場で失敗し続けるのか? Mr.B氏による資金増強も次々と逃したビッグネーム
ミランのサポーターが掲げた補強を求める横断幕【写真:Getty Images】

 もっとも、コンドグビアのケースとは関係のない話。「ネリオ・ルーカスがガッリアーニに仲介料を無心したところ、ミランのグループ企業であるフィニンベスト社の幹部が嫌悪した」という情報もあるが、こちらの方が実情には近いのではないだろうか。フィニンベスト社幹部、つまりベルルスコーニ家一族は、仲のいい大物代理人連中の言われるままに金を浪費するガッリアーニのことをよく思っていないともっぱらの噂。実際に2年前、バルバラ・ベルルスコーニ副会長はガッリアーニの追い落としに掛かっている。

 そもそもJ・マルティネスも、またコンドグビアについても、ちゃんと移籍金を詰めていれば回避できたかもしれないのだ。しかも今回は1億2000万ユーロほどの補強準備金があるといわれていたはずではなかったのか。ただやはり、その資金もすぐに投入できる状況にはないようである。

 これまで金がなく移籍金ゼロ補強を連発し、13年の夏には本田圭祐獲得に必要な移籍金500万ユーロ(6億5000万円)も出し渋ったミランがいきなり景気の良い話をしだした背景には、ビー・テチャウポン氏による株式買収がある。全体の48%を売却することで得られる収入の一部を当て込んでいるのは明白だ。

 しかし注意すべきは、まだミランはその金を必ず手にすると決まったわけではないということだ。6月5日に結ばれた契約は、正確には「株式売買を完遂するための8週間の優先交渉権」。もちろん最終的に購入することが前提となっているので覆ることはさすがにないだろうが、交渉が早期にまとまる保証もまたない。

 事実地元紙では「フィニンベスト社からミランに対し、現段階での移籍金支出にはストップが入った」という情報も流れている。移籍市場の空いている8月までに、大型支出にゴーサインが出るのか。それまでに選手は確保できるのか。

 今シーズンの終盤、サン・シーロには次のような横断幕が掲げられていた。「分かってるな。これ以上観客を減らしたくなければ投資を行え」。サポーターからもプレッシャーを掛けられ、ミランの幹部は厳しい夏を迎える。

【了】

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