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ジュニサカ 9年前

受験化するサッカー。伝統ある町クラブから見る小・中学生の理想像とは

text by 木之下潤 photo by junior soccer editorial staff

子どもにとって一番良い道を考える

 たとえば高校では一学年に50人の選手を抱え込んでいる学校もあるでしょ。学校やクラブの立場からすれば、選手が集まらなければ経営が成り立たない。協会側の人間も「一学年15人にせえ」と言うけど、クラブ側からすれば、「誰が飯食わせてくれんねん」って。

 もちろん、理想論だということは承知しているけど、クラブ側も営利目的を重視してることもあるから一概にはどちらが悪いとも言えない。

 それに3種で言えば、セレクションを行うこと自体は問題になっていない。クラブ数が多いからどの子もどこかには入団できます。それに今は親も選手も考え方が多様化してますから、昔のように縄張り争いみたいなことも少ない。4種の子らはええサッカーしてるクラブを選ぶとは限らない。

「月謝が安い」「ユニホームがかっこいい」とかサッカーとは関係ない部分も彼らにとっては選択肢の一つになっています。

――6年生や中学3年生になれば、学校という枠の進路はもちろん、サッカーの進路も真剣に考える時期です。

 うちは入団するときにはっきり伝えます。「本音はうちのジュニアユース、ユース、トップでプレーを続けてほしい」と。基本的には残ってほしいですよ。でも、よそのクラブに移ることに関して「NO」と絶対に言わない。子どもにとって一番ええ道を考えたいから。

 だから、親御さんには高校にしてもクラブにしても迷ったら相談して、って伝えてる。長いことやってるから大概のことは知ってるし、私が思ってることを正直に答えています。いまだに特待生で入学してケガしたら「辞めろ」っていう高校もありますから。子どもは試合に出場したいからレギュラーになれるクラブに移りたい子もいるでしょ。

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