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“飛車角落ち”のバルサと“大軍”のマンU、新シーズンに向けた2つのサバイバルレースをひも解く

text by 編集部 photo by Getty Images

存在感を示したヤヌザイ。若手は懸命のアピール

 若手のアピールも盛んだ。64分に11人全員が交代して控え組に切り替わったが、中でもアドナン・ヤヌザイの存在感は際立った。投入直後、見事なトラップから惜しいシュートを放つと、最終盤には個人技で勝利を決定づける。後ろからきたボールを絶妙なコントロールで受けて反転し、相手DFを転ばせて左足で狙いすました一撃を叩き込んだ。

 これまで球離れの悪さや状況判断の拙さが指摘されてきたヤヌザイは、ファン・ハール監督の前で、そしてバルサの前で成長した姿を示した。一方で終盤に一瞬気を抜いて失点を許したタイラー・ブラケットやパディ・マクネアーらDF陣は褒められたものではない。

 期待されながら燻り続けるアンデル・エレーラもいらだちを見せながら不完全燃焼に終わり、ジェームズ・ウィルソンも持ち味である強靭なフィジカルを生かした仕掛けを見せたが得点という結果にはつながらなかった。この試合で大会通じて初めて出番を得たマルアン・フェライニもミスが多くアピールに成功したとは言えない。

 昨季ファン・ハール監督の下でプレーした選手たちも、さらなる補強を進めるユナイテッドでは一瞬で放出候補になりえる。若い選手たちもレンタルに出されたりU-21チームへ送られたりする生活ではなく、トップチームで継続的にチャンスを掴むべく必死のサバイバルレースを続けている。

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