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支配力を失ったバルサ、最大の懸念は守備力にあらず。メッシの力をも削いだ“DFラインの拙攻”

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

前線にボールが渡らず、メッシも封じられる

 バルサがこれまでのような支配力を見せられない大きな要因にDFラインが挙げられる。それは守備が脆弱ということではなく、むしろ攻撃面。バルサのビルドアップ時にビルバオはプレスをかけるというよりもバルサの選手の間に入り、パスコースを消す動きを見せた。

 その結果、度々パスをカットされスムーズなビルドアップができず、さらにはスーパーカップの計9失点の残像もあるのかズルズルとDFラインが下がり、前線との距離は間延び。ボールが回ってこないメッシは業を煮やしてボールを受けに下がるため、前線での危険なプレーは封じられた。

 メッシのアクション・エリアを見ると、ハーフウェライン付近が63.33%で最多。ファイナルサードは36.67%だった。同じく昨季のCL決勝ではファイナルサードで60.19%を記録している。

 そして、特に顕著だったのはSB。昨季、バルサの支配力や強力な前線が力を発揮するための重要な役割を担っているのがジョルディ・アルバとダニエウ・アウベスの両SBだった。

 DFながら、アクション・エリアは常に敵陣で50%以上を記録し、ボールタッチ数も100回を超えることも少なくはなかった。純粋なウインガーを配置していないバルサにとって、このSBによるサイドアタックは戦術の大きなポイントとなっていた。

 それだけにダニエウ・アウベスが昨季終盤にチームを離れる可能性が高まった際には大きな不安を抱かせていたが、結局はミランをダシに使う形で残留。バルセロナの人々を安堵させたものの、この試合のわずか18分で負傷。セルジ・ロベルトと交代した。

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