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得点力復活の要因は? 23歳MFの躍動。レアルが手にした“新たな心臓”

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

“リズムチェンジャー”としても機能。欠かせない存在となるか

 このラス・パルマス戦、カゼミーロは93回のボールタッチで78本のパスを供給。その中で先制点をアシストし、2点目の起点となった。さらに、試合後のスタッツで一際目立つのがロングパスの部分。

 カゼミーロは、この試合の90分を通して17本のロングパスを出し、11本が成功。ともに2桁に達しているのはカゼミーロただ1人であり、マドリーの11人の中で“リズムチェンジャー”となっていた。

 どんなにボールをキープし、攻め立てても得点が生まれない試合では、「単調な攻撃のリズム」が主な原因となることが多い。日本代表がアジアで苦戦する状態がまさにそれだ。

 現在、負傷者続出となっているが、マドリーのスガッドを見るとコバチッチ、ルーカス・バスケスといった攻撃のカードもまだ残っている。その中でベニテス監督が選んだのがシステムの変更とカゼミーロの先発起用だった。

 一見すると、攻撃ではなく守備面の強化につながる変更にも感じられる。もしかすると、GKケイラー・ナバスの好守によって免れていたものの、決して安定していたとはいえなかった守備へのテコ入れだったのかもしれない。

 それでも、中盤の底で相手の攻撃の芽を摘み、パスで攻撃のリズムを作り出したカゼミーロは、控えとしてスタートしたが、文字通りチーム内でポジションを勝ち取った。そして、今後はチームの“心臓”として不可欠な存在となる可能性を示している。

【了】

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