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日本代表 8年前

【識者の視点】ハリルが抱えるメンバー固定のリスク。新戦力招集を躊躇させる二次予選突破のノルマ

text by 河治良幸 photo by Getty Images

ハリルホジッチ監督の算段は?

 ハリルホジッチ監督は就任して最初の合宿で31人のメンバーを選び、バックアップメンバーも読み上げてフレッシュな選考方針を印象付けたが、予選が始まり23人という段階になってからは限定的な入れ替えでここまで来た。

 ここから最終予選に向かっていく過程で候補を絞り込みながら、急激に伸びて来た若手やベテランでも戦術オプションとして不足している部分があれば加えるかもしれないが、大胆な選考はしにくい。

 もちろん2試合できっちり勝ち点6を積み上げ首位突破が見えてくれば、来年3月の2試合でよりテスト色の強いメンバー選考もしやすくなる。またクラブでの立場が微妙な選手や疲れの見られる選手を“休養”させることで、テストの余地を広げることもできる。

 ハリルホジッチ監督としてもそこの算段はあるはずで、そのためにも今回は100%の勝利に限りなく近づけるプランを組み立てている部分はあるだろう。

 ブラジルW杯で母国代表を率いたルイス・フェリペ・スコラーリ監督(現・広州桓大)は前年のコンフェデ杯の時に「代表チームというのは常に20%程度の変化が必要だ」と語っていた。

 当時のブラジルは予選が免除されていたので同列には扱えないが、欧州の列強国もテストマッチが限られる状況で、多くはユーロ2016の予選を戦いながら、適度な新陳代謝を進めていた。

 ブラジルW杯でハリルホジッチ監督が率いたアルジェリア代表は2014年の時点で27~29歳が大半を占め、最高齢が31歳だった。

 経験豊富な指揮官としては、最終予選を戦いながらも五輪世代の選手やここから成長した選手もタイミングを見て組み込んで行く想定はできているはずだが、最終予選に向けてさらに戦いがシビアになってくることを想定して、残りの試合をどう戦い、テストしていくのか。

 いざ大事な時に「気になる選手はいたが試すチャンスが無かった」ということが無い様にしてほしい。

【了】

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