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モウリーニョ解任の是非。すれ違った相互理解、不振はチェルシー史上最高の指揮官の責任に

チェルシーは現地時間17日、ジョゼ・モウリーニョと2度目の別れを告げることを発表した。声明では「双方合意の決別」と公表されていたが、事実上の解任である。果たして、モウリーニョ解任は正しい判断だったのだろうか。

text by 山中忍 photo by Getty Images

チェルシー、モウリーニョと2度目の別れ

モウリーニョ解任の是非。すれ違った相互理解、不振はチェルシー史上最高の指揮官の責任に
チェルシーの監督を解任となったジョゼ・モウリーニョ氏【写真:Getty Images】

 去る12月17日、チェルシーと2度目の別れを迎えたジョゼ・モウリーニョ。クラブ公式サイトでの発表は「双方合意の決別」だが、実際には8節サウサンプトン戦(1-3)後に今季1度目の緊急会議を持った経営陣が解雇の執行猶予を打ち切ったにすぎない。

 在職期間は前回よりも短い2年半。任を解いたクラブの決断が正しかったか訊かれれば、筆者の答えは「ノー」になる。2度目の就任は長期展望こそが経営陣とモウリーニョの相互理解だったはずだからだ。

 1年目の一昨季は無冠の3位だったが、首位との差は前年の14ポイントから4ポイントへと縮まっていた。2年目の昨季はほぼ首位独占で5年ぶりのプレミアリーグ優勝。開幕からまさかの不調が続いた今季は第2期モウリーニョ体制1度目の試練だったわけだが、クラブの我慢はそこまでだった。

 たしかに、ラストゲームとなった16節レスター戦(1-2)で、自信喪失が顕著だったチームは表面的なスコア以上の完敗。解任直後の翌節サンダーランド戦(3-1)では、一転してリーグ戦で約4ヶ月ぶりの3得点勝利となった。

 だがサンダーランド戦は、対戦当時19位の敵が前半早々に無抵抗で2点をリードさせてくれたことに助けられた。選手個々の実力からすれば、遅かれ早かれチームの調子が上向いて然るべきでもある。

 理解し難い主力の不調に昨季優勝の慢心があったとすれば、そこにはフロント主導の補強が放出の穴埋め程度に終わり、モウリーニョが求めた新戦力という刺激剤をチームに与えられなかった今夏の問題がある。

 CBのジョン・テリーと右SBのブラニスラフ・イバノビッチは、加齢による衰えがなくとも機動力不足。中盤中央の守備でネマニャ・マティッチへの依存度が高いことは昨季中に確認された。

 相棒のセスク・ファブレガスは昨季後半からの低調。指揮官にすれば、ジエゴ・コスタに代役と刺激の両面で競争相手が必用なことは、不動のCFがハムストリングを痛めて戦線を離れ、優勝決定直後のオフを勝手に1日延長した昨季終盤に痛感していたに違いない。モウリーニョは選手とフロントの落度を含む不振の責任を一人でとらされた恰好だ。

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