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日本代表 8年前

なでしこ敗退も女子サッカーは死なず。苦境の今こそ支えることが未来へのリスタート

text by 舩木渉 photo by Getty Images

なでしこジャパンの功績は決して色褪せない

岩渕真奈 大儀見優季
岩渕真奈(左)【写真:Getty Images】

 日本にとってのホーム・大阪で開催されたリオ五輪アジア地区最終予選の期間中、なでしこの選手たちは今までにないほどミスが多かった。6-1で快勝したベトナム戦でさえ、先制するまでは何度もカウンターで危険な場面を作られ、失点は自分たちのミスが重なったことにより与えたPKだった。

 中国戦ではバックパスのミスを狙われて早々に失点し、後半にはペナルティエリア手前から見事なミドルシュートを決められた。あの場面、たしかにボールホルダーへの寄せが甘かった。

 GKのポジショニングにも問題があった。シュートの前にパスをカットできたかもしれない。こういったミスの可能性を指摘し、また全体的な戦術やチームマネジメント、世代交代の是々非々論はしていくべきだが、それと同等以上に考えなくてはならないことがある。

 なでしこが残してきた2011年W杯優勝、2012年ロンドン五輪銀メダル、2015年W杯準優勝という輝かしい功績と日本サッカー界へもたらした財産はかけがえのないもので、揺るぎない価値がある。そこに疑いの余地はない。

 一方で未来に目を向けてみると、多くの人が悲観的な考えを述べるだろう。監督は2008年から変わっておらず、2011年のW杯優勝メンバーも大半がチームに残っており次世代の台頭は目立たない。そういった見解をよく目にする。

 だが、次世代の選手たちもしっかりと結果を残して成長を遂げている。なでしこと同時期にスペインでラ・マンガ国際大会に参加していたU-23日本女子代表はノルウェー、スウェーデン、ドイツと同年代の強豪国に3連勝して遠征を終えた。

 W杯優勝も経験し、同世代の中では傑出した実績を誇る岩渕真奈もベトナム戦後に「新たなスタートを切らなきゃいけない。いろいろ経験させてもらっているので、しっかりチームを引っ張れる存在になりたい」と語り、強い決意を胸に秘めている。

 今回五輪出場を逃したからといって「なでしこは終わった」と突き放すのではなく、ファンは新たな一歩を踏み出す次世代のチームに声援を送り、メディアやスポンサーを含めた関係者はこれまでと変わらぬ(あるいはそれ以上の)関わりを持っていくことが大事だ。

 いまこのタイミングで彼女たちを見捨ててしまっては、二度と日本女子サッカーが世界のトップクラスへ返り咲くことができなくなってしまうだろう。

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