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ネイマールがタトゥーを入れる意味。ブラジルの至宝が両足に刻んだ信念“大胆さと喜び”【フットボールと言葉】

シリーズ:フットボールと言葉 text by 竹澤哲

キングになるのは良いことだ

ネイマール
サントスとの契約延長は国家的話題となった【写真:Getty Images】

「イッツ・グッド・トゥー・ビー・ザ・キング」(キングになるのは良いことだ)

 ネイマールを追いかけてきて、一度悔しい思いをしたことがあった。2011年11月9日、日本から丸一日をかけてサントスに着いたちょうどその日に、ネイマールは、サントスFCで記者会見を開き、サントスとの契約を延長。ワールドカップ終了時まではブラジルでプレーすることを発表したのだった。

 日本ではほとんど報道はされなかったが、ブラジルではネイマールの動向はとても注目されていたし、ワールドカップまでヨーロッパへ行かないと発表したことはやはり大ニュースだった。その時刻にサントスにいながらも、疲れのため少し仮眠をとったことで、会見を逃してしまい、後で悔しい思いをしたのだった。

 この会見の模様はすぐにユーチューブにアップされたのでその日のうちに内容を確認できた。40分間あまりかけて行われた会見は多少演出を感じさせるものだった。サントスのルイス・アウヴァロ会長の会見後、ネイマールは父親と共に現れ 会長と抱き合った。ネイマールはキャップを斜めにかぶり、「イッツ・グッド・トゥー・ビー・ザ・キング」と書かれた黒いTシャツを着てきた。

 さらに「11番、ネイマールJr、2014」と書かれたユニフォームをTVカメラに向けた。ルイス・アウヴァロ会長は「私にとってこれまで最も幸せな瞬間はサントスが48年ぶりにリベルタドーレス杯を獲得したときだった。しかし今日はそれを越える喜びだ」と頬を紅潮させて語った。そしてネイマールは次のように話した。

「僕の目的はバロンドールをとることじゃない。サントスで最高のトーナメントを戦っていくことだ。サントスには世界最高の選手、ペレがいた。また僕が憧れたロビーニョもいた。僕自身もサントスで歴史に残る選手になりたい」

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