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ネイマールがタトゥーを入れる意味。ブラジルの至宝が両足に刻んだ信念“大胆さと喜び”【フットボールと言葉】

シリーズ:フットボールと言葉 text by 竹澤哲

“黄金時代”の復活を誓っていたサントス会長

 ネイマールを留まらせるためには、クラブとしてはそれなりの財政的な負担を覚悟しなければならない。だが会長はネイマールの人気、そしてクラブワールドカップへ出場を決めたことで、新たなファンを獲得することで財政的に補えると考えていた。

 サントスのファン数は、ブラジルで6番目だが、ヴァスコ・ダ・ガマ、サンパウロ、パルメイラスを抜いて、フラメンゴ、コリンチャンスに次ぐ3番目になれると信じていた。

「これからのサントスは、ペレがいた時代のように数々のビッグトーナメントを戦い、さらに親善試合の申し込みも増えることになるだろう。ペレは海外でプレーすることなく、あのレベルに達した。ネイマールはブラジル代表のレギュラーでもあり、数々の国際試合を戦うことによって経験を積んでいけるだろう」

 会長は最後に面白い比較を教えてくれた。

「ヨーロッパフットボール界はユーカリの林にたとえられる。ユーカリの木は紙をつくる材料になり、すぐに現金化できる。対してネイマールはブラジルフットボールの典型的なスタイルを持っているが、それはアマゾンの森林にたとえられる。

 変化に富み独創的である。それはいつお金になるか分からない。ワールドカップが終わったときでも、彼はまだ22歳だ。それから外国へ行くのを決めても遅くない。ネイマールはブラジルでさらなる成長ができるはずだ」

 親善試合や広告収入でネイマールの給料をまかなっていく。会長の頭の中には、来るクラブワールドカップのタイトルをとり世界一となることが当然思い描かれていた。世界一のクラブという称号を得れば、親善試合の申し込みが世界中から来る。まさにペレの時代、日本を含む世界中へ遠征をしていた黄金時代の復活をもくろんでいたのだった。

(文:竹澤哲)

【次回へ続く】

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