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プレミア優勝もメダルもらえず…控え選手に“証”を与えない「余計なルール」。出場数だけではない貢献度

今季のプレミアリーグは、レスター・シティが奇跡の優勝を遂げて幕を閉じた。優勝メンバーには“王者の証”である優勝メダルが贈られるのだが、出場数が5試合に満たない選手はその資格がない。英国現地では、この制度はどのように見られているのだろうか。
(取材・文:山中忍【ロンドン】)

text by 山中忍 photo by Getty Images

優勝も控え選手はメダルをもらえず…プレミアの規定とは

レスター
優勝したレスターの選手にはメダルが与えられるが…【写真:Getty Images】

 アウェイでの最終節も、1点差を追いついてチェルシーと引き分けたレスター。試合後、同点ゴールを決めたダニー・ドリンクウォーターが「1ポイントを奪えて良かった」と言っていたように、既にリーグ優勝が決まり、ホームでの前節に優勝セレモニーまで終えていながら結果にこだわる姿勢は「王者」に相応しかった。

 しかしながら、その優勝チームには物理的な王者の証である優勝メダルを与えられた選手と与えられなかった選手がいる。プレミアリーグの規定は以下の通り。

「リーグ優勝クラブには、監督以下、選手、チームスタッフなど同クラブが適切と判断する人員に贈る計40個の優勝メダルが用意される。当該シーズン中のリーグ戦に最低5試合出場した選手は漏れなくメダルを受け取るべきものとする」

 この規定を当てはめると、レスターの「戴冠式」が行われた5月7日のエバートン戦、出場停止のCBロベルト・フートに代わって先発したマルチン・ヴァシレフスキは、当日のピッチには立っていても試合後の表彰式で優勝メダルを受け取る権利がない。経験値とSBもこなす利便性を買われて昨夏に契約が1年間更新された35歳のバックアッパーは、エバートン戦が今季3度目のリーグ戦出場だった。

 その一方では、今年2月からミドルズブラでプレーしていたリッチー・デ・ラエトが、プレミア昇格を決めたレンタル移籍先で2部リーグ準優勝メダルを受け取った足でキングパワー・スタジアムに駆けつけると、移籍前月までに12試合に出場したレスター選手としてプレミア優勝メダルも手にしている。

 出場試合数は優勝への貢献度を計るわかりやすい尺度ではある。レスターの優勝が現実味を帯びた今季終盤戦、筆者は近所の英国人や北欧、アジアの外国人記者から「日本人でプレミア優勝メダルをもらうのは岡崎が初めて?」と訊かれることが多かった。

 実際には、3年前のマンチェスター・ユナイテッドで香川真司が日本人選手第1号になっている。しかし、先発レギュラーではなかった香川は、今季レスターの岡崎慎司のように「優勝メンバー」のイメージを持たれてはいないのだった。

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