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マンCは未だ“新興金満クラブ”の域を出ず。ペップは殻を突き破れるのか【15/16シーズン査定】

シリーズ:15/16シーズン査定 text by 植田路生 photo by Getty Images

クラブ最高のCLベスト4だが、果たして喜べるのか……

ジョゼップ・グアルディオラ
ペップ招聘は最高の人事【写真:Getty Images】

 なんとも言えないシーズンとなった。

 チャンピオンズリーグ(CL)を第一目標としていた15/16シーズンのマンチェスター・シティは、クラブ史上初かつイングランドのクラブとしては最高成績となるベスト4に進出。だが、果たしてこの結果に満足している選手、クラブ関係者、ファンはいるだろうか。

 CL決勝進出を懸けたレアル・マドリーとの試合は、ペジェグリーニ体制の集大成と位置づけられるものだった。だが、点差こそ僅差だったものの力負けした感は否めず、もう1つのベスト4であるアトレティコ・マドリー対バイエルン・ミュンヘンの試合と比べるとクオリティでは大きく劣っていた。

 プレミアリーグでは、4位フィニッシュとCL出場権を獲得。最低限の結果を残した。ただ、あくまで最低限だ。チェルシーやマンチェスター・ユナイテッドが低迷し、優勝のチャンスは十分にあったはずだが、レスターの勢いをまったく止められなかった。とりわけ24節のレスター戦(2月6日)と25節のトッテナム戦にホームで連敗し、いち早く優勝戦線から離脱したこの時期はターニングポイントと言える。

 それもそのはず。2月1日にクラブは来季の指揮官としてグアルディオラの就任が決定したことを発表。結果論ではあるが、全体的に来季を見据え、今季への集中力が削がれていたと言われても仕方がないのではないか。

 ペップ招聘は最高の人事だ。だが、それで今季が浮ついていたものになっていたのだとしたら、元も子もない。そういった地に足がつかない姿勢がシティの問題点ではないか。毎年のように大型補強を敢行し、一流の選手を揃えるが、このチームの骨格はあまりに脆弱だ。

 新指揮官が着手すべき部分は多い。バイエルンの監督に就任したときのように、すんなりとはいかないだろう。裏を返せば、それだけペップは新たな実験をしやすいとも言えるが。

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