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J放映権争いは携帯キャリアによる代理戦争か。リーグは未定を強調も水面下で交渉進む

text by 編集部 photo by Editorial Staff

村井満
村井満チェアマン【写真:編集部】

 Jリーグ(日本プロサッカーリーグ)は9日、都内で臨時理事会を行い、それに伴う記者会見を開いた。

 村井満チェアマンは冒頭、理事会では災害関連損失によるロアッソ熊本の財務状況悪化への対応方針ならびに日産自動車・三菱自動車工業の資本提携による浦和レッズへの法解釈についての議論が行われたことを説明。また、この日の朝、一部で報道された来季Jリーグの放映権の新契約についても言及した。

「TVの放映権は収入、またより広くJリーグを見てもらうことを考えても非常に重要」と村井チェアマン。「ただし、まだ何も決まっていない。理事会でも議論していない」と現状は契約については未定であることを強調した。

 現状Jリーグはスカパー!と契約を結んでいるが、報道によれば来季からは英国に本社をおくパフォーム社と新たに契約。年間100億円以上という現在を大きく上回る契約で9日の理事会で承認されるとの報道だったが、チェアマンはそれを否定した。

 ただし、含みも持たせた。次回の理事会は6月中に開催予定だが、放映権についてはそこで議題に上がる。チェアマンは「今までより安くなるのか、より広く見られるにはどうしたらいいのか。ファンにとって何がいいのか話したい。放映権は2017年のもので、今はもう6月。私としては早くやっていきたい」と語る。

 Jリーグの放映権に関しては、現在契約するスカパー!、ソフトバンク、パフォームが争っていた。理事会で議題に上がっていないとはいえ、来季の放送体制の準備を考えると水面下で交渉は進んでいると考えていい。

 現在のスカパー!ではJ1~J3、カップ戦などを視聴できる契約セット「JリーグMAX」は月額2962円。一方、ソフトバンクのオンデマンドサービス「スポナビライブ」は月額500円(ソフトバンク携帯契約者。他社契約の場合は3000円)。プレミアリーグやリーガエスパニョーラなどの海外サッカー、MLB、プロ野球など多数のスポーツが視聴できるサービスに組み込まれるとすれば破格の値段設定だ。

 パフォームの価格は非公表だが、サッカーを含めて複数のスポーツを視聴できるオンデマンドサービスが月額1000~1500円程度と見られている。仮にNTTグループと協業するならば、ドコモユーザーに有利な値段設定というのも考えられる。

 村井チェアマンの言う「安さとより広く」は重要な点だ。放映権をめぐる争いは、ソフトバンクとドコモという携帯キャリアによるユーザー獲得戦争の様相も呈してきた。契約金と天秤にかけながらJリーグはどのような判断を下すのか。決断までの時間はそう長くはない。

(取材・文:植田路生)

【了】

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