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アイスランドはフランスすらも食ってしまうのか。“ジャイキリ”狙う小国と開催国の意地

EURO2016もいよいよ準々決勝最後の戦いとなった。開催国フランスに挑むのは、今大会のビッグサプライズであるアイスランド。優勝のためにはここを通過点にしたいフランスに対し、アイスランドはベスト16に続いて“ジャイアント・キリング”を起こせるだろうか。(文:小澤亮太)

text by 小澤亮太 photo by Getty Images

優秀な監督の下、優勝へ勝負強さを兼ね備えるフランス

アントワーヌ・グリーズマン
フランスの攻撃陣をけん引するグリーズマン【写真:Getty Images】

 16ヶ国から24ヶ国に出場国が拡大し、大会のレベルの低下が心配された今回のEURO。しかし各国がそれぞれのカラーを持ち、質の高い試合が展開されており、その心配は杞憂に終わっている。

 ベスト4最後のイスを懸けて戦うのがホスト国・フランスと人口33万人(東京都中野区とほぼ同じ)、登録されているプロ選手が100人前後のアイスランドというのも出場国が拡大したからこそ実現したものだ。そんなフランスvsアイスランドというカードがベスト8で組まれることを、大会前に予想できた人はいないはずだ。

 フランスのグループステージの戦いは決して楽なものではなかった。ルーマニア戦では試合終了間際にディミトリ・パイエが勝ち越しゴール。アルバニア戦でも90分にアントワーヌ・グリーズマンが決勝点と薄氷の勝利だった。
 
 ベスト16のアイルランド戦も試合序盤にPKで先制を許す。屈強なフィジカルを前面に押し出して戦うアイルランドに苦戦を強いら、グリーズマンの2得点で逆転勝ちを収めた。上手く行かなくても最後はしっかりと勝つ。苦戦しつつも勝負強さを見せつけ、強いチームの勝ち方で勝ち上がってきた。

 ディディエ・デシャン監督はアイルランドの圧力に押されていた前半終了後、エヌゴロ・カンテに代えてキングスレイ・コマンを投入し、4-3-3から4-2-3-1へとシステムを変更、チームを勝利へと導いた。上手く行っていない状況を思い切った決断によって変化させることができる監督、それを支える選手層、選手たちの力が今のフランスにはある。

 アイスランドは間違いなく強敵であり、人口の10%以上がフランスに訪れていると言われているサポーターの存在も大きな後押しをするだろう。とはいえフランスは自国開催であり、目指すのはEURO2000以来の優勝だ。ここは通過点にしたいところである。

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