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アイスランドはフランスすらも食ってしまうのか。“ジャイキリ”狙う小国と開催国の意地

text by 小澤亮太 photo by Getty Images

ノープレッシャーのアイスランド。自分たちのスタイルを信じるのみ

アイスランド
アイスランドを大きくサポートするサポーター【写真:Getty Images】

 一方、今大会一番のビッグサプライズであるアイスランド。グループステージではポルトガルから勝ち点を奪い、ベスト16ではイングランド相手に逆転勝ち。その堂々たる戦いぶりは見る者を感動さているが、“気持ち”だけで下馬評を覆してきたわけではない。

 4-4-2の3ラインでスペースを埋め、組織的な守備で相手の攻撃を受け止める。ボールを奪ったら、素早くカウンターに移る。ロングスローやセットプレーも大きな武器になっている。

 確かにその戦い方は守備的で決して華麗とは言えず、フランスのようにビッグクラブでプレーしている選手もいない。それでもチームに見合ったプレースタイルを選手全員が信じて戦い、やり切っている。球際での激しさ、走り切るという点では出場国24ヶ国中では最も徹底されているとも言える。

 ベスト16で戦ったイングランド戦のときのオッズはアイスランド8.50倍、イングランド1.53倍。そして今回のフランス戦もアイスランド8.50倍、フランス1.44倍と圧倒的に不利と見られている。

 おそらくボールポゼッションはフランスに譲ることになるだろう。自陣で守る時間が多くなる。だがそれはアイスランドにとって想定内のことである。守備の時間が多くなるなかで、虎視眈々とチャンスをうかがうことで勝機が見えてくる。

 フランスと違い「勝って当たり前」「自国優勝」というプレッシャーがアイスランドにはない。失うものは何もないのだ。これまでの戦いと同様に自分たちのスタイル、戦い方をやり切るのみだ。

 苦しみながらも粘り勝ちしてきたフランスと、相手をこれでもかと苦しめてきたアイスランド。90分、一瞬の隙も見せられないじりじりとした熱戦になることは間違いない。アイスランドは120分、PK戦まで想定しているかもしれないが。

(文:小澤亮太)

【了】

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