功労者・二川孝広の突然の移籍。困惑するファン、葛藤したG大阪、そして決断した背番号10

2016年07月05日(Tue)10時42分配信

text by 下薗昌記 photo Getty Images
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疑問残る長谷川監督の起用法。本人は安定よりチャレンジを選択

長谷川健太
長谷川健太監督【写真:Getty Images】

 J2の京都サンガから照会はあったものの、二川の獲得に手を挙げたJ1はゼロ。「功労者は絶対におかしな切り方をしてはいけない」という強いポリシーを持つ長谷川監督だけに、クラブ側も彼に対しては最大限の誠意は見せていた。

 ただ、18年目のシーズンにあたってクラブ側が出していた条件の1つは「J3で若手に見本を見せてもらう、若手に勉強をさせる」(上野山信行取締役アカデミー部長)である。シーズン当初、J3を主戦場にしながら、トップでの出場機会を目指すという立ち位置を理解していた二川ではあったが、随所でトップでのプレーに執着心をのぞかせていた。

 ガンバ大阪U-23がJ3の開幕戦に挑んだ3月13日は、トップチームがACLのアウェイ・上海上港戦に向けた遠征に出発する日でもあった。市立吹田サッカースタジアムで行われるJ3の試合には、選手たちはクラブハウスから1分ほど歩いて向かうのだが、オーバーエイジ枠でJ3に出場する二川は、トップチームが空港に向かうバスを見るとこんな冗談を口にした。

「オレ、こっちのバスで行くわ」

 記者に対して自分から軽口を叩く事など皆無に近い背番号10の言葉からはトップチームに対する思いが痛いほど伝わって来た。

 疑問が残るのは今季の長谷川監督の起用法である。攻守の歯車がほぼ噛み合い、ハードワーカーが幅を利かせていた昨年までと異なり、チームは序盤、新たに模索する方向性の中で迷走を続けていた。

 先発が難しかったとしても、短時間ならば流れを変えうる存在だったのは今季トップチームで唯一プレーしたアウェイのメルボルン・ビクトリー戦を見ても明らか。途中出場で全く期待感のないプレーに終始するのみだった藤本淳吾や大森晃太郎らに代わって、ピッチに立ってもおかしくはなかった。

「出場機会はファーストステージよりあるけどなと話はした」という長谷川監督に対して、二川が選択したのは「迷う気持ちはあったけど、ここで安定した生活のためだけに残るのか、チャレンジして現役を続けるために頑張るのかという選択で、後者を選択しました。試合に出たいなというのがあったので」だった。

 そんな36歳に目をつけたのがJ2で低迷が続く東京ヴェルディの竹本一彦GMだった。

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