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EURO2016 8年前

コンテ・イタリア式、4-4-2の“発展形”。守備の弱点を克服した“ネオ・カテナチオ”【西部の4-4-2戦術アナライズ】

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ text by 西部謙司 photo by Getty Images

“ほぼ”マンツーマンで対応したドイツ

イタリア戦で3バックを採用したドイツ。ジャッケリーニにはシュバインシュタイガーが、ストゥラーロにはフンメルスが主に対応した。
イタリア戦で3バックを採用したドイツ。ジャッケリーニにはシュバインシュタイガーが、ストゥラーロにはフンメルスが主に対応した。

 ドイツはフォーメーションを変えて3バックでイタリア戦に臨んでいる。

 イタリアの2トップに対して3バックを用意し、決め打ち気味に入ってくる縦パスに備えたところは、無防備の2バックで対応したスペインとの違いである。

 3CBに対しては右からミュラー、マリオ・ゴメス、エジルの3人が対応。他のポジションも“ほぼ”マンツーマン気味にマッチアップするように配置した。引いて縦パスを繰り出すジャッケリーニに対してはケディラ(交代後はシュバインシュタイガー)がピッタリとついて離さない。ただ、このマッチアップではイタリアのMF中央のパローロに対応する選手を置いていない。ここが“ほぼ”の部分である。

 中盤左のクロースはストゥラーロ(右インサイドハーフ)よりも、むしろパローロへ対応していた。3CBからパローロへのパスはマリオ・ゴメスが遮断しているが、横パスが入りそうなときはクロースが捕まえている。フリーになるストゥラーロには3バックの左を担当するフンメルスがマークした。

 ストゥラーロは前進はしても、ジャッケリーニのように引いて縦パスの起点になるプレーをしない。前進してきたところでフンメルスが捕まえればいいという判断だろう。ジャッケリーニついても縦へ走り込んだときは受け渡しているので、左右で守り方を変えたというより引いたときはマーク、DFのゾーンに入ったら受け渡すという原則なのだと思う。

 イタリアの唯一の攻め手といっていい2トップへの打ち込みに3バックで対応し、しかもパスの出所まで潰したドイツの準備は万全といえる。ただ、DF増員のためにドラクスラーを先発で使えず攻撃力は多少落ちている。通常どおりに攻撃してイタリアにカウンターのチャンスを与えるよりも、攻撃力は少し落ちるがイタリアのチャンスをゼロに近づけてしまったほうが勝ちやすいと考えたのだろう。ノックアウト方式に強いドイツらしい手堅さである。

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