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EURO2016 8年前

コンテ・イタリア式、4-4-2の“発展形”。守備の弱点を克服した“ネオ・カテナチオ”【西部の4-4-2戦術アナライズ】

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ text by 西部謙司 photo by Getty Images

後方でのパス回しにより高まるポゼッション率

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後方に引いてきてトップにフィードを打ち込んでいたジャッケリーニ【写真:Getty Images】

 ちなみにゾーンの4-4-2でフランスに大敗したアイスランドは、間受け+ニアゾーンのダブルパンチを食らってジルーの先制点を許している。パイエの間受けに対してCBが前進して対応→パイエはワンタッチで下げる→前進したCBがラインに戻るがライン不揃い→CBの間にポジションをとったジルーが斜めに動いてニアゾーンを攻略、という流れだった。

 イタリアの5バックならこうはなりにくい。間受けに対してCBの1人が対応しても、すぐにラインへ戻る必要がない。すでに人数は足りているからだ。ラインが不安定になる要素は少ないしニアゾーンも空かない。

 攻撃は2トップへのクサビがほぼすべて。その起点は守備時の5バックである。今大会のイタリアのポゼッションが高いのは攻撃的なプレーをしているのではなく、縦パスの起点が5バックだからだ。後方で縦入れのタイミングを伺うためのパス回しをするので、ポゼッションが上がっているにすぎない。

 CBから直接2トップへ。それがダメならウイングバックを上げて空いたスペースにジャッケリーニが引いてきて、そこからトップへ。左へ下がるジャッケリーニは、CBからのパスを半身の状態のまま右足で引っかけるようにワンタッチでフィードする得意技がある。いずれにしても中盤を経由せず、後方からトップへ打ち込む形をパターン化していた。

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