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サッカー界の偉人・ペレの足跡。貧しき少年はいかにしてキングになったのか

W杯を三度制したブラジルの英雄、ペレ。彼がプレーしている姿、特に若い頃を知っている人は日本では少ないのではないだろうか。貧しい家庭に生まれた少年は、いかにしてサッカーの王様になるべく階段を登り始めたのか。7月8日に封切りとなった『ペレ 伝説の誕生』では少年時代からW杯初出場まで、若き日のペレが描かれている。(文:ミカミカンタ)

text by ミカミカンタ photo by ©2015 Dico Filme LLC.

“生きる伝説”ペレを描いた映画

ペレ ©2015 Dico Filme LLC.
【写真:©2015 Dico Filme LLC.】

 フットボールチャンネルを見る人は当然サッカーファンだろう。ならば「キング」と聞いて誰を思い浮かべるだろうか?

 サッカー専門サイトでベン・E・キングは反則だ。キング・カズだろうか? もしかしたら最近サッカーファンになった若い人の中には知らない人がいるかもしれないので一応書いておくが、キング・カズという尊称の由来となったのはペレである。
 
 今回採り上げるのは日本のキングではなく、本家本元の方のキングだ。キング・ペレこと、エジソン・アランテス・ド・ナシメント。

 そのペレの映画『ペレ 伝説の誕生』が7月8日に封切りとなった。先に結論を言ってしまおう。サッカーファンなら絶対に観て損はない。なんせ実話なのだ。生きたまま伝説となってしまったペレの少年時代から1958年のW杯スウェーデン大会初出場までを描いた伝記映画。

 伝記モノというとたいていは退屈か賞賛のオンパレード(だから退屈なのだが)が常だがこの映画は違う。ペレ自身がとんでもなくすごい選手なのだから忠実にその歴史をたどれば自ずと賞賛することにはなるが、この映画の大半はそうではない。

 前半はまるで『スタンド・バイ・ミー』のようだ。

 冒頭に書いたベン・E・キングの曲がこれ以上ないくらいにマッチしていたあの名作映画。そういえば原作はもうひとりのキング、スティーヴン・キングだった。『ペレ 伝説の誕生』の前半部分はサッカーにおける『スタンド・バイ・ミー』だ! と私なんかが断言しても始まらないが、後半に入ると様相が変わってくる。

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