ポルトガルが狙った膠着状態。大会中の戦術変更。菱形の中盤とスローテンポによる1点勝負【西部の4-4-2戦術アナライズ】

2016年07月13日(Wed)10時19分配信

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ
text by 西部謙司 photo Getty Images
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人選の変更による膠着。1点勝負で勝機をうかがう

ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド
ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド【写真:Getty Images】

 ボックス内での高さ、強さでナンバーワンのFWがロナウドだからだ。ロナウドは空中戦の高さで図抜けたFWだが、フランスのジルーやドイツのマリオ・ゴメスのようなタイプではない。もっと多彩でスピードもテクニックもある。ロナウドを空中戦とライン牽制だけに使うのはもったいなさすぎる。そこで同じタイプのナニと組ませて、どちらかがトップに張れば、もう一方は自由に動いてドリブル突破や間受けを狙う組み合わせにしたわけだ。

 ポルトガルはボールを支配して攻め込んでいたが、なかなか得点をとれなかった。クアレスマを起用した4-3-3も試したものの、やはり大きな進展はなし。グループステージは3引き分けの3位、ワイルドカードでのベスト16進出だった。

 ノックアウトステージでは同じ4-4-2でも人選が変化している。司令塔のモウチーニョを外し、攻守のダイナモだったアンドレ・ゴメスも起用せず。トップ下に起用されたアドリアン・シルバは司令塔役ではなく、クロアチアの司令塔であるモドリッチのマーク役として登場した。

 技巧とコンタクトプレーの強さを兼ね備えた若手のレナト・サンチェスが抜擢され、DF陣も守備のテコ入れが行われた。ボールを支配して押し込むのではなく、引いて守れる強さのある人選に変更した。

 ベンチにはモウチーニョ、アンドレ・ゴメス、クアレスマ、エデルが控えているので、いざとなれば攻撃力は増強できる。しかし、あえて効率の悪いポゼッション型から堅守速攻型に戦術を変え、試合を膠着させるほうが勝機があると判断したのはフェルナンド・サントス監督の英断といえるだろう。

(文:西部謙司)

【了】

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