ポルトガルが狙った膠着状態。大会中の戦術変更。菱形の中盤とスローテンポによる1点勝負【西部の4-4-2戦術アナライズ】

2016年07月13日(Wed)10時19分配信

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ
text by 西部謙司 photo Getty Images
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試合を“殺す”つもりだったポルトガル

 今回のポルトガルも、対戦相手の勢いを吸収するような戦いぶりが印象的だった。ブラジルとの関係が深く、ブラジル人選手は外国人枠にカウントされていない。プレースタイルにもブラジルの影響が表れている。

 とにかくプレーのテンポを上げない。基本的にパスは足下から足下、FWも引いて受ける傾向があるので中盤は渋滞を起こしがちなのだが、行き詰まりかけても失わない。技術の高さはもともとヨーロッパでも屈指、守備的なスタイルにしてからは自陣でも失わないプレス回避能力の高さがスローテンポの維持に寄与していた。

 深く引いて守る以上、ボール奪取地点も自陣深くが多くなる。ポゼッション型の相手は、そこでハイプレスをかけて早期のボール奪回を狙う。ポゼッション→ハイプレスの循環でリズムを作ろうとする。しかし、ポルトガルは相手のプレッシングをかわし、あるいはファウルをもらい、いったんは押し返すことができた。

 サンドバッグ状態に陥らず、試合のテンポも下げた。ゲームのテンポが上がらないので、どちらもスペースを空けることのない得点の入りにくい展開になるのだが、ポルトガルはそれでいっこうに平気だった。むしろ最初から膠着状態を望んでいて、試合を殺すつもりなのだ。ひたすら時間を浪費させて0-0の状態を長引かせる。1点勝負なら何が起こるかわからない。

 個々のテクニックは高く、パスワークも上手いポルトガルは本来攻撃型のチームである。しかし、その特徴を持ちながら守備的なプレーをしたときには南米勢のしたたかさが香るヨーロッパでは珍しいタイプのチームになっていた。

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