ポルトガルが狙った膠着状態。大会中の戦術変更。菱形の中盤とスローテンポによる1点勝負【西部の4-4-2戦術アナライズ】

中盤を菱形にした4-4-2でEURO2016を制覇したポルトガル代表。開催国フランスとの決勝戦では、膠着した試合に持ち込み、エデルの一撃で勝利を掴んだ。グループステージで3位だったイベリア半島のチームは、大会期間中にスタイルを大きく変更している。悲願のタイトルをもたらした、その英断とは。(文:西部謙司)

2016年07月13日(Wed)10時19分配信

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ
text by 西部謙司 photo Getty Images
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守備的なスタイルへの変化。南米のような戦いぶり

EURO2016を制覇したポルトガル代表
EURO2016を制覇したポルトガル代表【写真:Getty Images】

 ユーロで優勝したポルトガルは4-4-2と4-3-3の2つのフォーメーションを使い分けていた。4-4-2のほうは中盤をダイヤモンド型に組んだ形である。

 ポルトガルはオランダと並ぶウイングプレーヤーの宝庫なので3トップのイメージが強いが、菱形MFの4-4-2もある。ジョゼ・モウリーニョ監督下でCL優勝したときのFCポルトが4-4-2を使っていた。ベンフィカもよくこの形を使っていて、ポルトガルでは馴染みのあるフォーメーションなのだ。

 ところが、同じ4-4-2でもユーロのポルトガルはグループステージとノックアウトステージでは全く違う戦い方をしていた。当初は高いボールポゼッションを軸にした攻撃的なプレースタイルだったが、途中から人選を代えて守備的なスタイルに変化しているのだ。

 開催国フランスを破った決勝では、まるで南米のチームのようなプレーぶりだった。南米といってもブラジルやアルゼンチンの代表チームではなく、かつてトヨタカップで来日してヨーロッパ王者に勝利したり、互角の戦いをみせたリベルタドーレス杯王者のようなスタイルである。

 情報量が圧倒的なヨーロッパ勢に比べると、南米勢はチームも選手もほとんど知られていなかった。ところが、いざ対戦してみると“無名”の南米クラブはのらりくらりとヨーロッパの攻勢をかわしながら、したたかな試合運びと鋭いカウンターアタックで対抗していた。

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