EURO優勝国・ポルトガル、ロナウドやナニなど両足のキック精度の高い選手を生み出す土壌とは
EURO2016で悲願の優勝を果たしたポルトガル。クリスティアーノ・ロナウドやナニ、ルイス・フィーゴなど名ウインガーを輩出する土壌がある。そんなポルトガル国内のクラブはどういった選手育成を行っているだろうか。かつて、ポルトガルの名門・ベンフィカで育成部に所属していた経験のある松本量平氏の言葉に耳を傾けてみる。(文:松本量平 ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.20より転載)
2016年07月16日(土)8時31分配信
いたってシンプルなポルトガルの指導
ポルトガルでは「軸足はこう置いて、当てるポイントはここ、上半身はこうかぶせて……」といった指導光景は、ほとんどお目にかかりません。例えば蹴る技術を指導するときは「(彼の右足とか、ゴールのサイドネット)へ飛ばせ!」、シンプルにこれだけ。
悪く言えば大雑把ですが、最初に求めるのは一番大切なこの目的の部分です。指導者は「○○へ飛ばせ!」と目的を伝えるだけで、そのキックがどんな種類であれ、どちらの足であれ関係ありません。
ポルトガルはヨーロッパの中でも経済的に裕福でなく、ストリートサッカーで人材を輩出してきた国。ストリートサッカーで苦手な足を矯正させられたりはしません。ただし、蹴れないとやがてついていけない場面はどこかで生じます。ポルトガルでは、その経験が大切だと考えられています。
現在はその環境も減少してきており、有能な人材の育成について国として危機感を抱いています。そこで今ベンフィカではクラブ内の練習でストリートサッカーの環境をつくることにチャレンジしています。
例えば「苦手な足の習得」というテーマで練習を組み立てるとしたら、練習において、その足を使わないと得点できないような状況をつくります(ストリートでゴールなしのパス練習はありえません。シュート練習でトレーニングを組み立てます)。
図1はシンプルにポールをスラロームしてのシュート練習です。この練習でポールをスラロームしたあと、右足で蹴ろうとすると、ぐるっと回りこまなくてはいけないので時間がかかり、競争形式では相手に負けてしまいます。子どもたちは、左足を使うことを意識せざるをえなくなります。
続きは『ジュニアサッカーを応援しよう!』にてお楽しみください。