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ベトナムサッカーと八百長の歴史。撲滅へ動き出すもファンから向けられる懐疑的な目

text by 宇佐美淳 photo by Getty Images,宇佐美淳

代表でもクラブでも…。繰り返される八百長

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ベトナム代表監督を務めた三浦俊也氏【写真:Getty Images】

 ベトナム代表では、これ以前にも1996年と1998年のAFFタイガーカップ(現AFFスズキカップ)、ワールドカップ・フランス大会のアジア予選、ミーディン国立競技場のこけら落としとなった上海申花との親善試合「JVC CUP 2003」などで一部の選手に八百長疑惑がかけられた。

 また、記憶に新しいところでは、札幌や大宮などJリーグでも指揮経験のある三浦俊也監督体制で臨んだAFFスズキカップ2014準決勝2ndレグのベトナム代表vsマレーシア代表の試合が挙げられる。

 アウェイでの1stレグに2-1で先勝して迎えたこの試合で、ベトナムは自殺点を含む大量失点で敗れ、オウンゴールを入れた選手らに疑惑の目が向いた。これらは、いずれも当局の捜査で決定的な証拠が出ずに疑惑のままとなっているが、ベトナムサッカー連盟(VFF)が独自の判断で、“容疑者”に出場停止処分などのペナルティを課すケースもあった。

 クラブレベルでも違法サッカー賭博や八百長の影は露骨に見え隠れする。もはやベトナムで珍説となっている1997シーズンのハノイ警察クラブとアンザンFCの試合では、ハノイ警察の主将を務めるラ・スアン・タン選手が自陣ゴールエリア近くで味方のスローインを受けて、そのまま自陣ゴールに蹴り込むという前代未聞のオウンゴールを決めた。

 スタジアム内では、オウンゴールが決まった瞬間に現金の受け渡しをしている男たちがカメラに捉えられており、当局が捜査した結果、違法賭博と八百長が発覚。同選手は永久追放となった。同年には、海軍クラブの2選手も八百長で禁固刑の実刑判決を受けている。

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