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Jリーグ 8年前

磐田、2nd未勝利もブレない名波監督。戦い方の継続と貫徹。J1残留に向け、勝負の終盤戦へ

text by 青木務 photo by Getty Images

結果により生まれる「自信」の差

 例えば第4節・川崎フロンターレ戦、第6節・柏レイソル戦、第7節・FC東京戦ではいずれも先制ゴールを決めただけに、勝利がほしい試合ではあった。

 特にFC東京とのアウェイゲームでは、追いつかれてから再びリードを奪ったにも関わらず逆転負け。勝ち点がその手からこぼれ落ち、磐田は今季初めてとなる連敗を経験することとなった。

 第3節から第9節までの7試合の対戦相手は元々実力のあるチームだが、連勝を狙ってくるなどプラスアルファも肉付けされていた。勝利から見放されている磐田とは、勢いという部分でも差があった。

 宮崎智彦がこんなことを話していたのを思い出す。

「チームの調子がいい時は、何も恐れず『今まで通りやっていれば自ずと点が入るだろう』という流れみたいなものがある」

 勝利が続くことで自信も生まれる。だからこそ、勢いはさらに加速する。劣勢に立たされたとしても、自分たちの戦い方が間違っていないと信じられるから耐えられる。川崎F、柏、FC東京は、ビハインドを背負ってもネガティブな心境には陥らなかったように思う。結果論と言われればそれまでだが、まさにその“結果”が磐田と対戦相手の違いを表している。

 名波監督の言う「1を3に、0を1に」することの重要性を考えれば、第9節のサガン鳥栖戦のドローは大きい。終了間際にジェイのPKで同点に追いつき、勝ち点1を獲得。連敗も3で止まった。この試合の前、大井健太郎は最後まで諦めずに戦うことを強調していた。

「例えばもし0-1で負けている状況だとしても、1点決めれば勝ち点1は取れるという思いもしっかり持って、貪欲にやらなきゃいけない。球際の勝負、セカンドボールの勝負でそういう気持ちがすごく大事になると思う」

 ディフェンスリーダーの“予言”が的中した形になったが、複数失点しなければ勝負はどちらに転ぶかわからないということを、選手たちは身をもって経験することができた。元々、得点は奪えるチームであり、1点を先行されたとしてもそこで下を向くことなく戦い抜くことが、今後も求められる。

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