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清武、本来の輝き放てず。守護神奮闘で勝点1獲得も、セビージャが直面する配球役の不在問題【現地記者の目】

text by ロシオ・ゲバラ photo by Getty Images

中盤の底に配球役がいないセビージャ

セビージャのスターティングイレブン。清武はボランチの位置に下がってくる時間が多かった。
セビージャのスターティングイレブン。清武はボランチの位置に下がってくる時間が多かった。

 いずれにしろ、ミッドウィークにモナコとCLプレーオフを戦うというハンデを負ったホームチームが、セビージャよりも激しく組織的なプレッシングを仕掛け、攻撃も機能させていたことに変わりはない。

 ただS・リコという守護神の存在によって、勝利を逃した格好だった。フットボールは常にフィエスタ(祭り)となるわけではないが、サンパオリのチームとて例外ではないようだ。それどころか、エスパニョール戦で見せつけた守備の綻びを縫い合わせないまま、最大の特徴であった攻撃的な姿勢もかき消えた。

 清武については、セビージャの記者仲間はこの試合で酷いプレーを見せた一人、もしくは最も最低な選手だったと話している。ただし、中盤の底に下がってボールを受け、攻撃を構築するのは清武が務めるべき役割ではないように映る(スティーブン・エンゾンジと並列して守備を行う際には、フィジカルコンタクトで通用しない場面も多々あった)。

 本来の彼は、もう少し前めの位置で連係プレーを見せてこそ輝けるのではないか。問題はマティアス・クラネビッテルが期待に応えられていない現在のセビージャに、中盤の底での配球役がいないことにあると思える。

 インターナショナルウィークを挟んだ後、セビージャは本拠地サンチェス・ピスファンに現在リーガで首位を走るラス・パルマスを迎える。こちらは堅実なビジャレアルと違い攻撃サッカーを信条とするチームだが、ピスファンはエスパニョール戦のようなフィエスタを再び催すことになるのだろうか。

(取材・文:ロシオ・ゲバラ【セビージャ/マルカ】)

【了】

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