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【西部の目】ペップ・シティ、未完成もプレミア仕様の片鱗見せる。マンチェスターの赤と青、新章の幕開け

ジョゼップ・グアルディオラとジョゼ・モウリーニョの対決ということもあり普段以上に注目が集まったマンチェスターダービー。試合を制したのはアウェイに乗り込んだシティ。チームの完成度は高くなかったものの、ペップの志向するサッカーの片鱗は見せつけた。(文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

譲れないGKからのビルドアップ

シティに加入したばかりのブラボを起用したグアルディオラ監督
シティに加入したばかりのブラボを起用したグアルディオラ監督【写真:Getty Images】

 どちらもチームが出来上がっていないが、先に“らしさ”を見せたのはアウェイのシティのほうだった。

 加入したばかりのGKブラボを起用したのはグアルディオラ監督らしい。GKをビルドアップに加えたかったのだ。ボールの確保はペップの戦術において大前提。ユナイテッドはシティの深いところからのビルドアップを狙い続けていたので、危ない場面はあった。

 それでも安易にロングボールで逃げなかった。ここを諦めたらペップのチーム作りは頓挫してしまう。そのためのブラボ獲得であり、譲れない部分なのだろう。

 前半、シティのボールポゼッションは65パーセント。まだ理想には程遠いものの、主導権を握ることはできた。パスをつなぎながらコンパクトな距離感を作り、失ったら素早くプレッシャーをかける。セカンドボールもことごとく拾い、攻守にユナイテッドを圧倒した。

 先制点はコラロフのロングボールが起点だった。イヘアナチョが競り落としたボールをブリントの目の前でデ・ブルイネがかっさらい、そのまま正確なシュートを決める。追加点はデ・ブルイネのシュートがポストに当たった後、イヘアナチョが押し込んだ。

 どちらも崩しきったゴールではない。押し込んでいたからこそ生まれた2点とはいえ、崩しのところをどうするかはまだ定まっていない現状を表していたといえる。

 ビルドアップに関しては、まだ十分とはいえないまでもペップのアイデアは反映されていた。SBをインサイドに入れる、GKを起点にCBが開いて間にMFが下りるなど、バルセロナやバイエルン・ミュンヘンで使っていた形である。ただ、確保したボールをどうフィニッシュに結びつけるかは定まっていない。

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