ピケ、代表引退宣言の発端。スペイン代表の複雑さ。一部サポーターとの埋まらない溝

スペイン代表は、ルイス・アラゴネス、ビセンテ・デル・ボスケの両監督が率いた黄金時代を経て、フレン・ロペテギ体制をスタートさせた。だが、以前もあったジェラール・ピケの問題が再燃し、ピッチ外での話題が多い状況となっている。レアル・マドリーとバルセロナの因縁に加えてカタルーニャ独立問題が起きている今、“無敵艦隊”を取り巻く状況は複雑だ。(取材・文:山本美智子【バルセロナ】)

2016年10月13日(Thu)10時39分配信

text by 山本美智子 photo Rafa Huerta, Getty Images
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新生スペイン代表がスタートも、痛み出した古傷

ロシアワールドカップを最後にスペイン代表から引退する意向を表明したジェラール・ピケ
ロシアワールドカップを最後にスペイン代表から引退する意向を表明したジェラール・ピケ【写真:Getty Images】

 ビセンテ・デル・ボスケ時代に終わりを告げ、フレン・ロペテギの新スペイン代表がスタートした。だが試合内容について語る前に、古傷が痛み出してしまった。一部のスペイン代表サポーターと代表の間にある溝は埋まらない。

 フレン・ロペテギになって、スペイン代表がどう変化したかという話をする前に、ジェラール・ピケの長袖ユニフォーム騒動が起きたことは、このサイトでも報じられた通りだ。SNS上での事実に基づかない中傷を受けたピケは、試合後ミックスゾーンに姿をみせた。

「フレンと共に新代表でプレーすることに期待していたが、ロシアワールドカップを終えたら代表を引退するよ。途中でフレンを放り出すわけにもいかないしね。余りにも僕に(代表に)いて欲しくない人が多過ぎる。(今回の件は)今後、続けていきたいという意欲を僕に失わせるのに十分だった」

 そう話したピケの表情は、淡々としたものだった。笑顔もなく、かといって、怒るわけでもなく、無表情というほど冷たくもなく、触っても熱くも冷たくもない。目の前にいたのは、ロッカールームでは、いつも明るい空気をもたらす冗談好きのピケではなかった。多くの記者に囲まれて立っていたのは、傷ついたことを最小限にしか表に出さず、責任は果たしたが世の中までは変えられないと、現状にあきらめを感じている一人の悲哀に満ちたプロだった。

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