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清武を取り巻く不確定要素。ローテーション、代表戦の影響。再び監督の選択肢に入れるか【現地記者の目】

text by ロシオ・ゲバラ photo by Getty Images

出場時間が伴わなければ幸福は完全でない

セビージャのホルヘ・サンパオリ監督
セビージャのホルヘ・サンパオリ監督【写真:Getty Images】

 8月9日のUEFAスーパーカップに復帰を間に合わせることが彼の目標となったが、それは実現された。サンパオリ監督は彼を120分間プレーさせ、続いてスペイン・スーパーカップの1stレグでも、リーガの最初の2試合でも起用を続けた。エスパニョール戦では清武は1ゴール1アシストを記録している。

 だが、チームに明確なアイデンティティがないという批判を受け、サンパオリ監督は11人の顔ぶれを入れ替え試行錯誤することを強いられた。それが清武の名前を監督のプランから消してしまった。

 清武自身は適応の困難を乗り越えるため加入当初から努力を惜しまなかったし、ソーシャルメディアでの様子やチームメイトたちとの関係を見てもセビージャで幸福な様子は見て取れる。だが、出場時間が伴わなければ幸福は完全なものではない。

 スタイルの共通するナスリが絶好調であることが、セビージャにおける清武の前進にブレーキをかけた。「ナスリがボールを持つとチームが落ち着く」とサンパオリ監督は、アウェイでの悪夢を断ち切った試合の後に話していた。

 その一方で、清武に何かが起こる場合に備えて、ドイツからは彼の動向に横目での視線が送られている。ニュルンベルクとハノーファーで過ごした4シーズンで、清武はブンデスリーガに好感触を残すことができた。早くもシャルケとヴォルフスブルクの2チームが、トップ下の補強を検討することが見込まれるチームとして名前を挙げられている。

 これから冬の移籍市場までに、まだ状況はどう変わっていく可能性もある。清武はその変化が、再び公式戦でセビージャのユニフォームを着るという形に行き着くことを望んでいるはずだ。

(取材・文:ロシオ・ゲバラ【セビージャ/マルカ】)

【了】

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