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セリエA 7年前

インテル、3ヶ月で3人目の指揮官就任。監督交代を巡る“カオス”はなぜ生まれたのか?【現地記者解説】

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

ピオーリ就任決定目前で予想もつかない事態に

トヒル
インテルのエリック・トヒル会長【写真:Getty Images】

 彼らは、イタリアどころか欧州サッカーの現場を知らなかった。アメリカのプロスポーツビジネスに精通するトヒル会長も、ヨーロッパでは未経験。トヒルによってマンチェスター・ユナイテッドからヘッドハンティングされたイギリス人のマイケル・ボーリングブロークCEOも、もっぱら会計やマーケティング部門のエキスパートであり強化部門はまったくの専門外だった。

 そんな彼らがデ・ブールにこだわった理由は簡単で、ようは良くわからないところに代理人に売り込みをかけられたからである。イラン出身の大物代理人キア・ジョーラブシャンからデ・ブールを推薦され、彼らはそれを受け入れた。

 ただ、そんな決定がチームの実態と噛み合うわけがなかったのは冒頭で記した通り。そしてここで、監督人事の決定において蚊帳の外に置かれていたアウジリオSDらが動いた。彼らは窮状を蘇寧グループの幹部に相談する。そして先月の25日、株主総会に先立ってクラブの役員であり、オーナー張近東氏の息子である張康陽氏がミラノを訪れ、今後の処遇について強化部門と話し合いを始めた。

 そして前述の通りインテルはサンプドリアに敗れ、アウジリオSDは水面下でピオーリから監督就任への合意を取り付ける。ところが、これで円満とはならなかった。

蘇寧グループは現場に対し、意外なリクエストを出したのだ。「自分たちがミラノに行くまで待つように」。1日、クラブの公式サイトにはデ・ブールの解任と、ELサウサンプトン戦にはプリマベーラのステファノ・ヴェッキ監督が臨時に指揮を執ること、そして「後任監督は後日発表する」という発表のみがなされた。

 そしてミラノに到着した蘇寧グループの幹部は、誰の予想もつかなかったことを始めた。4日、さしあたってピオーリと会談を持った彼らは、なんと同じ日に元ビジャレアル監督のマルセリーノとその代理人もミラノに呼び、会食の場を設けたのである。

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