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セリエA 7年前

インテル、3ヶ月で3人目の指揮官就任。監督交代を巡る“カオス”はなぜ生まれたのか?【現地記者解説】

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

「巨大なカオス」。インテルの監督交代劇に現地メディアも大見出し

ピオリ
インテルの新監督に就任したステファノ・ピオーリ【写真:Getty Images】

 イタリアの事情をよく知る監督が就任すると噂されていたのに、外国人監督が呼ばれたことに誰もが耳を疑った。ただそれもまた簡単な話で、蘇寧グループもまた代理人から売り込みを掛けられていたのである。しかもその代理人は、やはりあのジョーラブシャン。彼は中国にも強いコネクションを持ち、蘇寧グループに取り入っていた。

 現場からはイタリア人監督を、ジョーラブシャンからは外国人監督を推される板挟み。その中にあって中国人の経営者集団は、監督と直々に会って“オーディション”をすることにしたのだ。そのうちにはジャンフランコ・ゾーラという第三者の名前まで挙がり、三極が分裂する混乱はここに極まれり。

「あのインテルという名の巨大なカオス」。クロトーネ戦当日の6日、『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は試合そっちのけでそんな大見出しを打った。

 ただこれは単に、蘇寧グループをはじめとしたインテルの優柔不断、というわけではなかったようである。彼らは現場を知らないなら知らないなりに、実際に監督の顔を見て決めようということにしたということだ。そして最終的には強化部門の話を尊重して、ピオーリを監督に選択した。

 さらに彼らは、これまでの混乱はトヒルら現経営トップが現場の実態を把握してなかったのが原因と判断したようである。7日、ボーリングブロークがCEOを辞任し、その後任に蘇寧スポーツグループのナンバー2が就任することになった。地元ミラノの記者の間では、早晩トヒル会長も退陣するのではないかという噂が立っている。

「重要なのは、中国人オーナーがこういう時に責任感を発揮できるかどうかだ」。マッシモ・モラッティ前会長は、一連の騒動を受けてこうコメントした。とりあえず現場の意見に耳を傾けた彼らだが、今後もミラノの状況を逐一把握した上でイニシアチブを取れるのかどうかが注目される。

(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)

【了】

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