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酒井高徳、HSV主将就任の舞台裏。1部残留へ、ブンデス最年少キャプテンが抱く強気の姿勢【海外組の真価~日本人選手の現在地】

text by 元川悦子 photo by Getty Images

名門の降格危機も…ポジティブな思考が最大の強み

ギスドル
酒井を主将に任命したHSVのマルクス・ギスドル監督【写真:Getty Images】

 とはいえ、この先もバイエルン・ミュンヘン、ボルシア・メンヘングラッドバッハ、ヘルタ・ベルリンと難しい相手が続くため、残留争いは息を抜けない。過去数年間もそうだったがHSVは最後の最後までプレッシャーのかかる戦いを余儀なくされそうだ。しかし、酒井本人はどこまでも前向きだ。

「ちょっと責任感なく聞こえちゃうかもしれないですけど、実は降格争いに対してのプレッシャーはそこまで感じてないと言うか。というのも、いい試合ができた時の自分たちのクオリティを知ってるから。それが毎試合出せれば、HSVは全然残留争いなんかするチームじゃないと思ってるんで。ここ数試合はうまくいってる手応えも感じています。だからプレッシャーを感じてるって言うより、『楽しんでる』って言った方がいいかなっていう感じですね」

 そのポジティブシンキングが酒井高徳の最大の強みかもしれない。日本人は苦境に陥るとナーバスになりがちだが、そういうメンタリティはこの男にはない。ある意味、日本人の枠を超えた新たなフットボーラー像を彼は今季のブンデスリーガで示し続けているのだ。

 そんなキャプテンが常に強気の姿勢を失わず、勇敢に戦い続けていれば、チーム全体が下向きになることはない。だからこそ、ギスドル監督もこの男にリーダー役を託したのだろう。

 HSVの残留請負人として、日本人キャプテンは今季終盤もタフに走り続けていくはずだ。

(取材・文:元川悦子【ハンブルク】)

【了】

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